未回収のイタリア(みかいしゅうのイタリア)

[ヨーロッパ−近代]

イタリア王国が領土と主張した領域の内、 イタリア統一の最終過程であるローマ占領後もオーストリア領として残された地域。 南チロルとトリエステなどのアドリア海沿岸地域が該当した。 これらの地域は第3次独立戦争で獲得を目指したが、 自力では勝てずプロイセンの勝利により何とか戦勝国になった立場であったため、 主張領域の全ては得られず未回収のイタリアが生じることになった。 その後イタリアはドイツ・オーストリアと三国同盟を結んだため領土問題は棚上げにされたが、 第1次世界大戦では「未回収のイタリア」回収のため同盟国と手を切り、 英仏露と秘密裏に交渉し連合国側に付いて参戦した。 戦後イタリアは戦勝国とはなったが、 秘密交渉はアメリカのウィルソン大統領の反対により履行されなかった。 その後オーストリアとのサン=ジェルマン条約や ユーゴスラビアとのラパッロ条約といった条約で 南チロル・トリエステはイタリア領となった。 強硬派はフィウメなどさらに広い地域の獲得も目指したが、 条約に反する活動は支持を得られず失敗に終わった。 これらの地域は第2次大戦後に再び帰属問題が発生したが、 トリエステは一部地域をユーゴスラビアに割譲し、 ドイツ系住民が多かった南チロルには自治権を認めることで一応解決した。

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