イコン

[ビザンティン帝国・東ヨーロッパ]

キリスト教のキリストや聖人を描いた聖像画、特に東方正教会の聖像画。 本来キリスト教はユダヤ教の伝統を受け継ぎ、 神の似姿を描くことは禁止されていたが、 布教活動の必要性から神と同一の存在とされる イエスや聖母マリアを描いた聖像画が作られるようになった。 主に木板または金属板に描かれ、初期は蝋画、後にテンペラ画で、 まれにモザイク画も作られた。 ビザンティン帝国時代にはその存在を巡って国論を2分する大論争となったが、 結局原則よりも布教の都合が勝ち、大量のイコンが作成されることとなった。 ちなみに西欧では、文化の違いからか初めからキリストを描くことに抵抗は無く、 後のルネサンス期の宗教画隆盛の下地となった。 また、基本的にイコンの作成は写経と同じで芸術ではなく宗教活動であり、 ひたすら正確な模写が求められるという。 尚、PC のアイコンの語源である。

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