イーゴリ=スヴャトスラーヴィチ

[ヨーロッパ−中世]

キエフ大公国分裂時代の公の一人。 「イーゴリ遠征物語」で後世に名を残す。 チェルニーヒウ公の次男でノヴゴロド=セーヴェルスキー公となり、 晩年に自身がチェルニーヒウ公となった。 当時の有力諸侯の一人で諸侯の内紛や遊牧民のポロヴェツ (キプチャク) と度々戦い勝利を収めた。 ポロヴェツに対する勝利の後奇襲を受けて捕虜になったこともあったが、 後に脱出して奪われた領土を奪い返した。 この件が「イーゴリ遠征物語」の元となった。 ただ有名なイーゴリ公であるが、公としての事跡はあまり伝えられていない。 元々次男であった所為か、数々の勝利はチェルニーヒウ公の勢力拡大より 自身の一族内の地位向上に使われたようである。 優秀な武人ではあったが、 アレクサンドル=ネフスキーのように歴史に大きな影響を残すには至らなかった。 「イーゴリ遠征物語」は本人の生存中に作られたと考えられており、 同時代人に英雄視されるくらいの人望はあったようである。

見出しのページに戻る
歴史小事典+歴史世界地図に戻る