ハインリヒ7世

[ヨーロッパ−中世]

ルクセンブルク朝の神聖ローマ帝国皇帝。 元々はドイツの有象無象の諸侯の一つであるルクセンブルク家の当主であったが、 皇帝アルブレヒト暗殺の後、強大な皇帝を嫌った諸侯によって次の皇帝に選ばれた。 しかし、ハインリヒは有能な為政者で、 諸侯の思惑に反してルクセンブルク家は強大化した。 特に婚姻によってボヘミア王位を得たのは大きかった。 また、正式に戴冠するためにローマに向かったが、 教皇はアビニョン捕囚の最中でローマには現れず、 イタリアで皇帝派と教皇派の内乱を招いてしまった。 結局敵対派を破った後枢機卿によって戴冠された。 その後続けて南イタリアのナポリ王国遠征を試みたが、 陣中で病没した。 彼の死は強大な皇帝を嫌った者の暗殺ではないかとも言われている。
ハインリヒはルクセンブルク家の基礎を築いた名君であるが、 それ以上に「神曲」の作者ダンテが理想の君主として絶賛した男である。 彼は齢40を前にして無念 (であったと思う) の最後を遂げたが、 実力に加えてダンテに認められるという幸運のため、後世に名を残した。

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