ハノーヴァー朝(ハノーヴァーちょう)

[ヨーロッパ−近世・近代]

近世から近代にかけてのイギリスの王朝。 ヴィクトリア女王の死後、夫アルバート公の実家からサクス=コバーグ=ゴータ朝と名をかえ、 さらに第1次大戦で敵国ドイツの名前を避けてウィンザー朝となったが、 家系自体は現在まで存続している。 ステュアート朝のアン女王の死後、最も血統的に近かったのは異母弟ジェームズであったが、 カトリック教徒で名誉革命体制の敵であったため、 遠縁の親戚であるハノーファー選帝侯のゲオルク=ルートヴィヒが王として迎えられ、 ジョージ1世として即位し、ハノーヴァー朝が成立した。 ジョージはハノーファー候としては意欲も能力もあり、 スペイン継承戦争に参戦した武人でもあったが、 英語は話せずイギリスの統治への関心も薄かった。 この辺りイングランド王であるよりもアンジュー公であったリチャード獅子心王に近いが、 リチャードの時代と異なり議会政治が確立されつつあったイギリスには好都合であった。 このジョージの代に「王は君臨すれども統治せず」な議院内閣制が確立していった。 対外的にはフランスとの対立が続き、ナポレオン戦争以外は主に植民地獲得戦争となったが、 アメリカ独立以外はイギリスが勝利し、世界中に植民地を獲得した。 また産業革命も起こりいち早く産業の工業化を達成して内政面でも国力が増大した。 ヴィクトリア女王が即位すると女性に継承権がないハノーファー選帝侯とは別れたが、 イギリスは最盛期を迎え「日の沈まない帝国」として世界に君臨した。

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