グレゴリー=ポチョムキン

[ヨーロッパ−近世]

ロマノフ朝ロシア帝国の軍人・政治家。 女帝エカチェリーナ2世の愛人として知られる。 スモレンスク郊外で中級貴族の子として生まれ、 近衛連隊に入隊しエカチェリーナのクーデターに参加した。 プガチョフの乱の鎮圧に活躍した後、女帝の知遇を得て気に入られ、 秘密結婚をした上で娘を設けるまでに至った。 エカチェリーナには最後のポーランド王スタニスワフを始め多くの愛人がいたが、 文武に優れたポチョムキンを最も愛したと言われ、 「エカチェリーナ生涯唯一の真実の夫」とまで言われている。 当時ロシアがオスマン帝国からクリミア半島の覇権を奪い、 クリミア=ハン国を影響下に置いていたが、 その統治能力に疑問を持ったポチョムキンは併合を進言し、 自ら県知事としてクリミアに赴き、 セヴァストポリ要塞を築き黒海艦隊を設立した。 これにオスマン帝国が抗議し露土戦争が勃発するが、 名将スヴォーロフらを率いて戦争を勝利に導き、 黒海北岸を完全に領有して自ら総督として統治した。 ポチョムキンの統治下でオデッサなどの都市が建設され、 黒海沿岸は順調に発展していった。 晩年はやや女帝と疎遠になったが、病死すると女帝は深く嘆き悲しんだと伝えられる。
ポチョムキンは女帝の寵愛によって出世したが、 クリミア半島を始めとする黒海沿岸の領有化とその発展、 引いてはロシアの覇権確立に貢献し、地位に見合う実力を示した。 ロシア有数の名政治家と言えよう。「女帝の愛人」ではもったいない。

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