トスカーナ大公国(トスカーナたいこうこく)

[ヨーロッパ−近世・近代]

イタリア中部のフィレンツェ周辺を領域とした国家。 最初はメディチ家、後にフランスに占領されていた時期を除いて ハプスブルク=ロートリンゲン家によって統治された。 メディチ家はフランスのイタリア侵攻の影響で一時フィレンツェを追放されたが、 ハプスブルク家の後援で復帰し、 当主のアレッサンドロはカール5世によってフィレンツェ公に任じられた。 アレッサンドロの暗殺後コジモ1世は周辺のシエナなどを併合し、 スペインの影響下ながらトスカーナ大公国としてメディチ家の世襲化に成功した。 しかしその後イタリアを含めた地中海沿岸は大航海時代以降衰退し、 フィレンツェ共和国時代の繁栄を取り戻すことは無かった。 その後メディチ家の嫡流は断絶し、 トスカーナ大公はロートリンゲン家出身のオーストリア皇帝フランツが継承した。 ただしフランツはフランスとの交渉で本来の領地であった ロートリンゲンを失っていたため、 当人は不本意であったと伝えられる。 その後ナポレオンの時代に一時トスカーナを含むイタリアは フランスの領土及び衛星国となったが、 その没落後再びハプスブルク=ロートリンゲン家が復帰した。 さらに時代が下り、イタリア統一の機運の中 国民投票の結果によってトスカーナ大公は退位し、 トスカーナ大公国はサルデーニャ王国に併合された。

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