グラックス兄弟

[共和政ローマ]

ローマの政治家。 本名は兄がティベリウス=センプロニウス=グラックス、 弟はガイウス=センプロニウス=グラックス。 兄と同名の父も政治家で、母コルネリアは大スキピオ=アフリカヌスの娘である。 ローマがポエニ戦争の勝利の後、社会構造の変化によって中小規模の農民が没落し、 シチリアや北アフリカで奴隷を使った大規模農業が発展した。 兄ティベリウスはこの現状はローマの衰退を招くと憂い、改革を志した。 ティベリウスは自身が護民官となって小規模農民を支援する政策を打ち出し、 義理の父アッピウス=クラウディウスと弟ガイウスと共に改革を推進した。 しかし、この改革は大土地所有者である名門階級(閥族派)の反発を招き、 ティベリウスは従兄弟スキピオ=ナシカの一派により撲殺された。 兄の死後、弟ガイウスが兄の遺志を継ぐべく護民官になり、 改革を推し進めたが、やはり閥族派によって自殺に追い込まれた。 こうして彼らの改革は2人の死によって頓挫した。 後のローマでは、イタリアの農業は大きく衰退し、 食料をシチリア・北アフリカに依存することになる。

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