[ローマ帝国・ヨーロッパ−中世]
ローマ帝国末期から中世初期にかけてゲルマン系諸部族が
ヨーロッパ各地に勢力を広げた現象。
元々狩猟民族であったゲルマン人は、
ローマ共和政時代から現在のフランスのガリア人に対して略奪を繰り返し
間接的にローマに影響を与えていた。
カエサルによってガリアがローマに組み込まれると直接国境を接するようになり、
直接ローマに対して略奪を図るようになった。
帝政末期にローマの力が衰えるとライン川・ドナウ川の南に度々進出するようになるが、
ローマ側の政策で本格的に移住する者も現れ始めた。
さらにアッティラ率いるフン族の侵攻により、
大部族も部族ごと移住するようになった。
大移動以前は現在のドイツから東ヨーロッパ北部にかけて住んでいたが、
西ローマ帝国を衰えさせて滅亡させると、
その領内に多くの部族が定住するようになった。
主な部族は以下の通り。
部族 | 主な移住先 |
---|---|
東ゴート族 | イタリア |
西ゴート族 | イベリア半島 |
ブルグント族 | フランス中部 |
フランク族 | フランス北部 |
アングロ=サクソン族 | イギリス |
ヴァンダル族 | 北アフリカ |
ただし、イギリス以外の旧ローマ領内に移住した部族は、
徐々に現地のラテン風の風俗に染まっていった
(中華に進出した北方民族に近いかもしれない)。
元々ゲルマン人が暮らしていた東ヨーロッパは、主にスラブ系民族が住むようになり、
東ローマ帝国領内を除くヨーロッパ各地でほぼ現在に近い民族分布が出来上がった。
尚、アーサー王やシグルド (ジークフリート) などのヨーロッパの伝説の多くは
この時代を背景にしている。