ゲルマン神話(ゲルマンしんわ)

[ローマ帝国・ヨーロッパ−中世以降]

ゲルマン人達が残した神話。 スノリの「エッダ」などの北欧神話やワーグナーのオペラが有名である。 他の神話と比べて、特に荒々しく勇猛さを尊重する傾向が強いのが特徴である。 また、英語の曜日の火曜から金曜まではこの神話の神から名前がつけられているなど、 後世への影響も大きい。 あの「指輪物語」の元となるモチーフもゲルマン神話から取られている (ワーグナーの「ニーベルングの指輪」の元ネタである)。
最高神は謀略に長けた (完全な善玉でないのが特徴的である) 隻眼のオーディン (水曜日の神)、 他に有力な神として最も愛されていたらしい豪傑で雷神であるトール (木曜日の神)、 オーディンの正妻でやはり策略家の女神フリッグ (金曜日の神)、 彼らとは別系統で豊穣の神であるフレイ、その妹フレイア、 軍神ティール (火曜日の神) がいる。 そして、トリックスター (悪戯者の神) として炎を司るロキがいる。
人間の死後は、戦士でないものは冥界に行き、 戦士は戦乙女に連れられてオーディンの館ヴァルハラへ行き、 宴会と戦いの日々を送るとされる。 非常に戦い重視の思想である。
もう一つの特徴として、神々すら滅びる終末の物語 (ラグナロク) を持っていることが挙げられる。 神ですら不滅ではなく、 戦死した後炎の巨人スルトによって世界ごと焼かれるという話は、 ゲルマン人の死後の世界と共にその死生観をよく表している。
この武骨極まりないゲルマン神話も、 キリスト教と共に現在の欧米人のメンタリティーの基幹を成しているのである。

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