元(げん)

[中国・モンゴル帝国]

モンゴル帝国は第5代ハーンであるフビライの代に 内乱によって事実上分裂した。 ハイドゥらによって西方の支配圏を失ったフビライの国家は 中華征服王朝へと変貌し、1271年国号も中国風の「元」と改めた。 元は南宋を征服することで最初の完全な中華の征服王朝となった。 その支配ではモンゴル人のほかに被征服民を色目人・漢人・南人と分け、 民族ごとの階層を築いた。 またフビライの代には外征を繰り返し、 しかも一部の例外を除いて尽く失敗した。 跡を継いだ孫ティムールの代には、外征を中止したことや、 ハイドゥが戦死して戦いが終結したこともあって比較的安定したが、 その死後後継者争いが起こった。 それによって政治は混乱し、 最後の皇帝トゴン=ティムール(順帝) の即位で後継者争いに決着がついても混乱は納まらなかった。 この時点で既に皇帝は傀儡となっていたのである。 やがて漢民族の不満が爆発し、 白蓮教徒が中心となって宋の再興を掲げた紅巾の乱が起こり、 やがて中国は群雄割拠の状態となった。 その中から頭角を現わした朱元璋が江南を統一し、 さらに北へ攻め寄せモンゴルを草原へと追いやった。 これによって征服王朝としての元は滅亡する。 しかし、モンゴル人の国家はこれで消えたわけでは無く、 モンゴル高原で一大勢力として残り、しばしば明を脅かした。 モンゴルが独立を失うのは、 後金に敗れホンタイジをハーンと認めた時である。

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