ロバート=フルトン

[北米−近代]

アメリカの技術者。蒸気船の実用化に成功したことで知られる。 アメリカのペンシルベニア州で生まれ、最初は肖像画家となった。 イギリスに渡って画家のベンジャミン=ウェストの弟子となったが、 産業革命を目の当たりにして技術者へ転向した。 次いでフランスへと赴き、 手動式潜水艦や兵員輸送用の蒸気船を売り込んだが何れも失敗した。 さらにアメリカ公使であったリビングストンの援助を受けて外輪蒸気船を建造し、 セーヌ川での試走に成功したが、 フランス政府に採用されなかったためイギリスへ戻り、 イギリスでも成果が出なかったため母国アメリカへと戻った。 アメリカでは帰国したリビングストンの援助で蒸気船の建造に着手し、 リビングストンの所有地から「クラーモント」と名付けた。 これまで蒸気船は失敗が多かったため世間からは白眼視され愚行呼ばわりされていたが、 ニューヨークからハドソン川を遡行する公開実験では最初外輪が止まるトラブルはあったものの、 すぐに運行再開して目的地のオールバニまで無事到着した。 この実験で風向きの影響をあまり受けずに運行できる蒸気船の利点を示すことが出来、 週1往復の営業運転を開始した。 フルトンはニューヨーク州の蒸気船による河川運送の独占免許を取得し、 商業的に大成功を収めた。
フルトンは蒸気船の発明者では無かったが、 初めて商業的に成功を収めたことで後世最も有名な技術者となった。 この点蒸気機関の改良者ワットや蒸気機関車の改良者スチーブンソンと同様で、 発明者より社会に変革をもたらした成功者が歴史に名を残しやすいようである。

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