オランダ侵略戦争(オランダしんりゃくせんそう)

[ヨーロッパ−近世]

フランス王ルイ14世がオランダ侵略を図った戦争。 ネーデルラント継承戦争においてオランダ・イングランド・スウェーデンの介入により 所期の成果を得られなかったルイ14世は、雪辱を果たすため同盟の切り崩しを図った。 イングランドとドーヴァーの密約を結んで味方に引き入れたのを皮切りに 神聖ローマ帝国諸侯、スウェーデンを味方に引き入れ、 イングランドのオランダ宣戦に合わせてフランスも宣戦、 オランダへの侵攻を開始した。 当初は順調に勝ち進んだが、オランダは堤防を決壊させて洪水線を築いて抵抗、 さらに政変によりオラニエ=ナッサウ家のウィレム3世が総督に就任した。 ウィレムはオーストリア・スペインなどと同盟を結び、 デ=ロイテル提督がイングランド海軍を破って戦争から脱落させて状況を有利にした。 一進一退の攻防の中テュレンヌが戦死、コンデ公とモンテクッコリが引退し、 特に名将を失ったフランスは精彩を欠き戦線は膠着した。 そんな中ウィレム3世がイングランド王の姪メアリーと結婚し、 イングランドの後ろ盾を得たことでフランスの勝利は絶望的となり、 さらに戦費調達のための増税で国内に不満が高まったため継戦が不可能となった。 フランスはオランダ征服こそ果たせなかったものの、 スペインからフランシュ=コンテやフランドルの都市を得て領土を広げた。 さらに戦後はルクセンブルクやストラスブールを一方的に占領・領有し、 絶頂期を迎えたものの他国の反発を招き、後の大同盟戦争を引き起こすこととなった。

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