飛び杼(とびひ)

[ヨーロッパ・全世界−近世]

産業革命の切っ掛けとなった織物製作工程を改良した道具。 杼(シャトル)とは織物を織るとき縦糸の間に横糸を通す道具であるが、 従来は両手を用いて布の端から端へ渡されていた。 しかしイギリスのジョン=ケイがローラーが付いた飛び杼を発明し、 片手で投げるだけで横糸を通せるようになった。 この発明によって機織りの効率は劇的に向上したが、 糸の不足や保守的な織物業者の反発を招き、 特許裁判の費用がかさんだこともあり、 発明者のジョン=ケイはフランスへの逃亡を余儀なくされた。 しかし飛び杼自体は普及し、 糸を作る紡績機の誕生や機械動力の織機の発明を促すことになった。 そして織物生産が自動化されてからも、 近年シャトルレス織機が生まれるまで飛び杼は自動織機の中で使われ続け、 現代でも小規模な製造現場では使われている。

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