エクイテス

[共和政ローマ]

騎士階級とも訳されるローマの新興富裕階級。 富裕層が騎士と呼ばれるのは、ローマの税制による。 マリウスの改革以前、ローマは徴兵制を採用していた。 その際、徴兵は税の一種であることもあり、 兵種は対象者の資産によって決められていた。 最も貧しい人は金のかからない軽装歩兵、 それよりは金の有る人は、奮発して鎧を買って重装歩兵となった (税であるため武装は自腹である)。 そして、最も金のある人は維持費もかかる馬を買って騎兵となったのである。 そのため富裕層を騎士と呼んだのだが、 徴兵制が志願兵制に代わり彼らが兵士にならなくなっても、 呼び名はそのまま残ったのである。 彼らが登場するきっかけとなったのは、 ポエニ戦争の勝利による地中海の覇権の確立である。 最も成り金になり易かったのは属州の徴税請け負い人である。 彼らはローマ共和政政府が直接属州を管理せず(と言うより出来ず)、 徴税を民間に委託していたため生まれたのであるが、 要は私腹を肥やしたのである。 そのため属州はローマが安定期に入るまでは 厳しい搾取を受けなければならなかったのである。 そんな彼らであるが、 帝政期に入ると皇帝アウグストゥス自身がエクイテス出身であることも手伝ってか、 役人として大々的に登用され、帝国の繁栄の一翼を担うようになった。

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