エドヴィン=フォン=マントイフェル

[ヨーロッパ−近代]

プロイセン・ドイツの軍人。 軍事内局局長として一時プロイセン軍の専権を握った。 名門貴族の分家で裁判所長を務めた家の子として生まれ、 ベルリン儀仗騎兵隊に入隊し軍人となった。 国王の副官になり、熱心な王権至上主義者として注目された。 後の皇帝であるヴィルヘルム王子が摂政となると新設された軍事内局の局長に就任し、 陸軍大臣すら辞任に追い込み軍で絶大な権力を握った。 新大臣であるローンが軍制改革に取り組み議会と対立すると、 改革を進めるため議会を排除する軍事クーデターを画策した。 しかし王となったヴィルヘルム・陸相ローン・首相ビスマルクらが慎重姿勢を貫き、 議会を介さずに軍制改革を進めたためクーデター実行には至らなかった。 マントイフェルはそれでも強硬姿勢を貫き、 またオーストリアとの同盟を訴えてローン・ビスマルクと対立し、 対デンマーク戦後に獲得地であるシュレースヴィヒ総督への栄転という形で 中央から追い出された。 その後は軍司令官として普墺戦争・普仏戦争に参戦し、 ドイツ帝国成立後には元帥に昇進した。 普仏戦争で獲得したエルザス=ロートリンゲン総督などの要職に就いたが、 生涯中央に戻ることは無かった。
マントイフェルは保守反動派の軍人として軍で絶大な権力を握ったが、 ローンやビスマルクと対立して中央から左遷された。 一応要職には就いたままだったが、 野心家な上に絶対王政への回帰を強硬に主張したため、 現実主義者であるビスマルクには嫌われ中央から遠ざけられたまま生涯を終えた。

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