フランシス=ドレイク

[ヨーロッパ−近世]

イギリスの海賊にして提督。 世界で最も成功した海賊の一人である。 生涯敵であったスペインではその名を捩って「エル=ドラコ(竜・悪魔)」 と呼ばれた。 農民の長男として生まれ幼い頃から船員をしていた。 従兄弟のジョン=ホーキンスの下で奴隷貿易に従事していたが、 後に自らの船を手に入れ船長となったが、 スペインに襲われて船団が壊滅し、 ドレイクはスペインへの復讐を誓ったと言われる。 その後西インド諸島で海賊に転じ、 さらにイギリスの援助の下私掠船船長となって5隻の艦隊を率いた。 この艦隊は西廻りで航海を続け、スペインに対して略奪を繰り返し、 さらに途中モルッカ諸島で香辛料も手に入れながら世界一周を成し遂げた。 帰還したのは1隻のみであったが、 略奪品と香辛料で莫大な財産を手に入れ、 女王を含む出資者に投資の数十倍の配当金をもたらした。 この功績によって叙勲され、さらに海軍中将の地位も手に入れた。 その後は一時陸に上がりプリマス市長などになったが、 スペインと険悪になると海上に戻り、 名目上は副司令官、実質は司令官に采配を任されたことで総司令官となり、 アルマダの海戦でスペイン無敵艦隊を壊滅させた。 最期は西インドでスペインと戦っていたが、 不利な情勢の中赤痢によって病没した。
ドレイクはオスマンのハイレディンと共に最も成功した海賊である。 ハイレディンが海軍総司令官としてオスマン海軍の事実上の父となったのに対し、 略奪しながらの世界一周やアルマダの海戦での大勝利など、 ドレイクは専ら最前線での華々しい活躍が目立った。 タイプは違うものの何れも海賊ながら世界最高と呼ぶに相応しい英傑である。 また何れもスレイマン・エリザベスという海賊に大きな権限を与えた 太っ腹な主君に恵まれたことも幸運であったと言えよう。

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