ドミティアヌス

[ローマ帝国]

ローマ帝国皇帝。ウェスパシアヌスの次男であり、フラウィウス朝最後の皇帝。 兄ティトゥス以上にお坊ちゃん育ちであるが、 彼自身にローマのエリートの条件である軍隊経験は無い。 兄の突然の死によって思いがけず皇帝に即位する。 災害の復興や辺境防衛網の整備、 後の「最良の皇帝」トラヤヌスのゲルマニア軍団司令官への抜擢など優れた手腕を示した。 しかし、エリート階級に対して異常なまでの猜疑心を示し、多くのものを処刑し恐れられた。 最後は妻ドミティアを始めとする親族によって謀殺された。 彼自身は父や兄に劣らず有能な人物であったらしいが、 出自が決して高貴ではないことに加えて軍隊経験が無いことがトラウマとなったようである。 なまじ能力があったためプライドも高くなり、暴走に拍車がかかったらしい。 異常なまでに顕示欲と猜疑心が強くなり、己の破滅を招いてしまった。 さらに後世暴君の代表にまでされてしまった。 彼の死後皇帝に擁立されたネルヴァを見ると、 君主には派手な能力よりも己を知る賢明さが重要であると思わされるのである。 ともあれ、彼の死によってフラウィウス朝は終わりを告げ、 5賢帝時代が始まるのである。

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