専制君主政(せんせいくんしゅせい)

[ローマ帝国]

四分統治と並ぶディオクレティアヌス帝の重要な政策。 ラテン語ドミナトゥスの日本語訳。 それまでの元首政では共和政の形態を保っていて、皇帝もローマの主権者である

「s.p.q.r」(ローマの元老院及び市民)

によって選ばれる存在であった。 しかし、軍人皇帝時代に皇帝が軍団兵の支持のみによって選ばれるようになり、 内乱によって権威が地に堕ちたため、 ディオクレティアヌスは皇帝を東方的な専制君主にすることで権威の復活を試みた。 ディオクレティアヌス自身が都をローマではなくニコメディアに置いたこともあり、 この時以来ローマ帝国は事実上別の存在へと変質したと言える。 ディオクレティアヌスの引退後再び内乱の時代へと入ったが、 その内乱を収めたコンスタンティヌスによってその政策は受け継がれた。 コンスタンティヌスはコンスタンティノポリスを建設し、 またキリスト教を導入したことで東ローマ帝国の基盤が固まったが、 ディオクレティアヌスの改革はその先鞭をつけたものと言えよう。 専制君主では不十分であった皇帝の権威はキリスト教の神によって補われることとなる。

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