総裁政府(そうさいせいふ)

[ヨーロッパ−近代]

フランス革命期にテルミドールのクーデターで生まれた政府。 クーデターでジャコバン派を倒した勢力は 反ジャコバン派という以外での一致点は少なく、 常に急進改革派と穏健派の対立を抱えることとなった。 クーデターの翌年には憲法が改定され、 国民公会に代わって5人の総裁が行政を行うこととなった。 総裁の任期は5年で、毎年1人ずつ改選することとした。 最初に総裁に選ばれたのは バラス・ルーベル・ラ=ルヴェリエール・カルノー・ル=トゥルヌール で、約4年続いた総裁政府でバラスのみ最後まで総裁であり続けた。 新政府が発足したものの、 世情は不安定で急進派バブーフによるクーデター未遂事件や 王党派の反乱が相次いだ。 対外的にはプロイセンやオランダとは講和したが、 オーストリアとの講和には失敗し戦争が続けられた。 そんな中イタリア方面軍司令官として連戦連勝したナポレオンが頭角を表し、 総裁政府に危険視されるようになった。 オーストリアと講和したもののイギリスを中心とした諸国との紛争は続き、 ナポレオンの功名心と厄介払いしたい総裁政府の思惑が一致して エジプト遠征が実施された。 しかしこの遠征は地中海の制海権を奪われたことで失敗し、 危機感を抱いた諸国によって結成された第2回対仏大同盟の前に 劣勢を強いられることとなった。 この危機はマッセナの戦勝によって乗り切ったものの政権の危機は続き、 総裁政府は破綻寸前であった。 この情勢を見て秘かに軍を残して帰国したナポレオンがクーデターを断行し、 総裁政府は終焉を迎え新たに統領政府が樹立された。

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