大陸封鎖令(たいりくふうされい)

[ヨーロッパ−近代]

ナポレオンがイギリスに対して行った経済封鎖命令。 命令を出した地からベルリン勅令とも呼ばれる。 ナポレオンの没落の切っ掛けを招いた政策でもある。 ナポレオンはアウステルリッツ及びイエナ=アウエルシュタットの戦いの勝利で ヨーロッパ大陸の覇者となったが、 トラファルガーの海戦の敗北でフランス艦隊が壊滅したことにより 対イギリス戦は手詰まりとなっていた。 そこで直接侵攻の代わりに大陸各国にイギリスとの交易を禁止し、 イギリスを経済的に締め上げることとした。 この勅令は確かにイギリスに打撃を与え、 国内不安や逆海上封鎖に端を発する米英戦争の勃発を招いた。 しかし産業革命の前で農業製品の輸出と工業製品の輸入が不可欠であった 大陸諸国のダメージはそれ以上に大きく、 ポルトガルやロシアの離反を招いた。 ナポレオンはこれに対する制裁としてイベリア半島侵攻やロシア遠征を 行わざるを得なくなり、 これらの泥沼化・敗戦によって自身の没落を招くことになってしまった。

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