[ヨーロッパ・中米−近世]
メキシコに存在したアステカ帝国を滅ぼしたコンキスタドール。
スペインの下級貴族の子として生まれ、
当初は法律家を目指したが適わず、
紆余曲折の末新大陸に植民者として渡った。
主に原住民の征服事業で頭角を現したが、
上司のキューバ総督ベラスケスと主にメキシコでの利害を巡って
対立するようになった。
コルテスは独自に兵を率いてメキシコに渡り、
トラスカラと戦いの後これと和睦し同盟した。
内陸のアステカで最初神ケツァルコアトルの化身と勘違いされたコルテス一行は
丁重に迎えられたが、後に変心した王により一度追い出された。
その後ベラスケスによる追討軍を降伏させるなどして戦力を整えたコルテスは
数度の戦いの末アステカの首都テノチティトランを陥落させアステカを滅ぼした。
生贄のために周辺諸国と戦っていたアステカには敵も多く、
スペイン兵の他トラスカラなどの兵もコルテスに従っていた。
その後スペイン王カルロスにヌエバ=エスパーニャ総督に任じられたコルテスは
テノチティトラン跡にメキシコシティを建設し、探検や征服により領土を広げた。
しかし徐々に反コルテス派が盛り返してコルテスは総督を解任され、
スペインに帰国して返り咲きを図るものの再任はならなかった。
領土と爵位は得たものの権力を失い、失意の内にスペインで死去した。
遺体は遺言に従いメキシコシティに葬られた。
コルテスはかつては偉大な征服者と見なされていた。
滅ぼしたアステカが人身御供などの
残虐な風習を持っていたことも影響していただろう。
しかし今日ではアステカ文明を滅ぼしインディオを奴隷にした
野蛮なコンキスタドールの代表と見られている。
統治能力はコロンブスより遥かに上で、
かつて法律家を目指していただけにピサロより教養もあった。
しかし、アメリカ大陸の文明を理解しないという点では彼らと大差は無かった。