統領政府(とうりょうせいふ)

[ヨーロッパ−近代]

ブリュメールのクーデターによって総裁政府が崩壊した後に生まれた政府。 別名執政政府とも呼ばれる。 クーデターの首謀者はシエイエスであったが、 ナポレオンが第一統領として実権を握った。 名目上は三人の統領がいたが、 他の統領であるカンバセレスとルブランは議会と共にナポレオンに従属し、 実体はナポレオンの独裁体制であった。 こうして体制を固めたナポレオンは劣勢であったイタリア戦線に参戦し、 名将ドゼーを犠牲にしつつも勝利した。 さらにモローがドイツ方面で勝利したことでオーストリアと講和し、 フランスの大陸での覇権を保持することに成功した。 さらにイギリスとアミアンの和約を結んで戦争を終結させると、 その成果で国民の支持を得たナポレオンは終身統領に就任した。 ナポレオンは多くの国民には支持されていたが、 批判的な政治家や軍人は放逐したり亡命に追いやったりし、 反感を持つものも多かった。 彼らによる暗殺の陰謀が次々と企てられ、 ナポレオンもその対策に頭を悩まされることとなった。 また己の死後の政治体制に不安を抱き、 警察相フーシェの進言を受け入れて世襲称号を創設することにした。 そして人民の委託という形で皇帝に即位し、 統領政府に代わって帝政が成立することとなった。

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