[全世界−ローマ帝国以降]
イエス=キリストにより創設された宗教。世界3大宗教の一つ。
イエスが始めたのはユダヤ教の改革運動であったが、
弟子のペテロやパウロがローマ世界中に布教したため、新しい世界的宗教となった。
最初の活動の地であるユダヤではユダヤ教に圧されて廃れたが、
ギリシアを始めとするローマ世界で発展した。
そのため新約聖書は原書はギリシア語である。
当初はローマの神々を否定したため迫害されたが、
やがてローマ世界の多数派となって国教の地位を獲得した。
本来は博愛を旨とする宗教であったが、迫害や統治の道具となる中で変質し、
中世ヨーロッパを暗黒時代に縛る呪縛となってしまった。
また、統治に利用するため、ネストリウス派を始めとする分派を異端として退けた。
これらはアジアに細々と伝えられたが、
ローマの分裂以降、ヨーロッパの正統も東の正教会 (オーソドックス) と
西のローマ=カトリック教会に分裂した。
さらにルネサンス期以降ローマ教会の腐敗に対する反発からもう一つ
プロテスタント教会も誕生した。
現在キリスト教の主流は大きくこの3つに分けられている。
また、プロテスタントの出現に危機感を持ったカトリックは世界中に熱心に布教したため、
アジアや中南米のキリスト教徒は大部分がカトリックである。
キリスト教の本拠地となった欧米では、大まかに分けて西ヨーロッパ北部はプロテスタント、
西ヨーロッパ南部はカトリック、東ヨーロッパは正教会が多い。
北アメリカは移民の国であるため、基本的に出身地の宗派である。
本来キリスト教は博愛を説き、多くの人の心の拠所となったが、
歴史上では政治に利用され、ヨーロッパにおける思想弾圧・十字軍・
植民地支配の正当化等負の歴史が多い。
尤も、キリスト教は3大宗教の中でも最も広まった宗教なので、
負の側面が多いのも止むを得ない部分もあるのだが。
元々一神教故に不寛容に陥りやすい面もあったが、
政治と結びつけられたことが不幸の始まりであったと思われる。
イエスの
「神のものは神へ、皇帝のものは皇帝へ。」
というセリフは実に理に適ったものである。