張良(ちょうりょう)

[中国−秦・楚漢]

劉邦に仕えた名軍師。字は子房。 韓の出身で祖父と父は宰相をつとめ、 劉邦陣営の中でほとんど唯一のエリートである。 祖国を滅ぼした秦の始皇帝に恨みを持ち、 1度鉄槌で暗殺を図るが失敗して逃亡する。 伝説ではこの逃亡中に奇妙な老人から兵法書を授かったことになっている。 任侠(ヤクザ)と付き合い、また項伯(項羽の叔父)を助け、 意気投合している。 秦に対する反乱が起こると仲間の任侠を率いたが、 劉邦に出会って意気投合、軍師として加わった。 鴻門の会では項伯の手伝いもあって劉邦を救い、 韓王となった成に仕えるため一旦劉邦と別れる。 韓王成が項羽に殺されると劉邦の下に戻り、再び軍師として劉邦に仕える。 その勝利に戦略面で貢献しただけでなく、 人事の上でも韓信らに恩賞を多く与えることなどを進言し、組織を保った。 劉邦が天下をとると僅かな領地をもらって引退し、 道術に励んで粛正を免れた。 ただ1度、呂后に泣きつかれた時に太子が後継者と認められるため、 賢者を招くことを進言しただけであった。
張良は戦略戦術に優れていたが、体が弱かったため戦場に立つことはなく、 帷幄の中で作戦の立案や計略を担当していた。 劉邦自身認めた通り、彼の軍師としての能力は当時最高であった。 劉邦の部下でも最も大きな貢献をした特別な存在であったと言える。 天下統一の後は早々と引退して身の安全を守った。 面白味には欠けるが、賢明な判断であった。

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