ケルト人(ケルトじん)

[ヨーロッパ−古代以降]

古代ヨーロッパの大部分に住んでいた民族。 しかし、現在ではアイルランド等一部にその痕跡を残すのみである。 特に大陸のケルト人はガリア人とも呼ばれ、カエサルの「ガリア戦記」 等にその様子を残している。 古代ギリシアでポリス文化が発展した頃には、 現在のドイツ・チェコ辺りからアイルランド ・イベリア半島まで進出していたようである。 彼らは農耕民族で、祭祀階級であるドルイドを中心とした部族社会を形成していた。 今日残された遺品から、 彼らがギリシア・ローマに引けを取らない 高い文化レベルを持っていたことが知られている。 しかし、文字はかなり後代になるまで持たず、知識の伝承は専ら口承に頼っていた。 それが、後にローマ人に吸収されることになった最大の原因であると思われる。 アイルランドに文化が残されたのは、ローマに積極的に干渉せず、 そのためローマ人の手が伸びなかったためであろう。 大陸のケルト人 (ガリア人) は、狩猟民族のゲルマン人に圧迫されて、 度々ローマに侵攻した。 共和政初期には、1度ローマを滅亡寸前に追い込んだこともある。 しかし、ローマが力をつけると度々撃退され、 カエサルによって征服されることとなった。 ローマの属州となっても、独自の文化は残っていたが、 徐々にローマに同化していった。 ローマにも影響を与えたが、文字を持たなかった上、 ギリシア文化という強力過ぎるライバルがいたため、その影響は小さかった。 そのため、今日ケルトと言えば大抵はアイルランドのケルト人を指すようになった。

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