カリフ

[中東−中世〜近代]

イスラム教のムハンマド死後の最高位者。 正式には「アッラーの使徒 (=ムハンマド) の後継者」である。 ムハンマドは己の後継者を定めなかったが、 死後アラブの慣習に基づいてアブー=バクルが後継者に選出された。 以後アリーまで同様の合議制でカリフが選出されたが (正統カリフ時代)、 アリーの暗殺後、ムアーウィヤが世襲王朝を確立し、カリフも世襲となった。 以後カリフはアッバース朝や後ウマイヤ朝に受け継がれた。 アッバース朝は実権を失った後も、実権を握った政権に権威を与えるという役目を果たした。 このあたりは日本の天皇と感覚的に近いかもしれない。 アッバース朝はカリフの権威とは関係ないモンゴルによって滅ぼされたが、 落ち延びた一族がエジプトのマムルーク朝に匿われ、そこで権威付けの役割を果たした。 マムルーク朝がオスマン朝に滅ぼされると、今度はオスマン朝に取り込まれ、 そこでは世俗のスルタンと宗教的権威のカリフが兼任された。 このカリフ制はトルコが近代革命を迎えるまで続いた。

見出しのページに戻る
歴史小事典+歴史世界地図に戻る