金印勅書(きんいんちょくしょ)

[ヨーロッパ−中世]

黄金の印章が付けられ皇帝の命令が記された文書。 神聖ローマ・ビザンティン帝国で用いられたが、 特に神聖ローマ帝国のカール4世のものが有名である。 このときまでに皇帝の位を巡って内乱が相次いだため、 カールは皇帝を決める制度を考案した。その主な内容は、

  • 皇帝 (正確にはローマ人の王) は3聖職諸侯 (マインツ・トリーア・ケルンの大司教) と4世俗諸侯 (ライン=プファルツ伯またはライン宮中伯・ザクセン公・ ブランデンブルク辺境伯・ボヘミア王) の選挙で決定する。
  • 上記7諸侯 (選帝侯) の内4諸侯の得票で皇帝となる。
  • この結果は教皇の承認を必要としない。
  • 選挙はフランクフルトで行い、戴冠式はアーヘンで行う。
  • 選帝侯は諸侯の最上位であり、多くの自治権が認められる。 また、選帝侯への反逆には大逆罪が適用される。
  • 選帝侯領は分割相続を禁止し、長子単独相続とする。
  • 諸侯間の同盟を禁止する

  • などといったものである。 ただし、皇帝の座を巡る混乱はカールの死後も発生し、 上記規定もしばらくは厳密には守られなかった。 だが、混乱を抑えるためしだいにこの勅書が重要視されるようになった。 また、選帝侯に様々な特権を与えたことで諸侯の独立傾向が強まり、 後の帝国分裂の遠因となった。

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