バルバリア海賊(バルバリアかいぞく)

[北アフリカ−中世〜近代・オスマン帝国]

北アフリカのバルバリア (リビアからアルジェリア一帯) を拠点として活動したイスラム教徒の海賊。 9世紀頃北アフリカがイスラム化するのと同じ頃に現れ始め、 キリスト教徒の商船や地中海沿岸の村などを襲撃していた。 イベリア半島でスペインのレコンキスタが完成すると イベリア半島を追いやられたイスラム教徒が加わり、 活動が活発にあった。 最盛期は16世紀で、 バルバリアを束ねたバルバロス=ハイレッディンがオスマン帝国に帰順し、 カプタン=パシャとして辣腕を振るった。 ハイレッディンは陸軍国であったオスマン帝国の海軍の事実上の創設者となり、 自身の育てた海軍で地中海の制海権を握った。 しかしハイレッディンの死後レパントの海戦で破れたことで西地中海の制海権を失い、 提督クラスの中で唯一生き残ったウルグ=アリが海軍を再建させるものの、 その死後はバルバリア海賊もオスマン帝国同様精彩を欠き、 徐々に元の (普通の) 海賊へ戻っていった。 彼らは19世紀まで活動していたが、 近代に入るとヨーロッパとの技術格差は決定的となり、 本拠地がフランスの植民地となり海賊としての活動は終焉を迎えた。
ちなみにアフリカ以外の地域の出身者や 襲われたキリスト教徒が改宗して帰順したケースも多く、 ハイレッディンはギリシアのレスボス島出身、 ウルグ=アリは元々海賊に襲われたイタリア人である。 また19世紀には通行料の支払いを拒んだアメリカと戦っている。 海兵隊が海兵隊賛歌にある「トリポリの海岸」に来たのはこの時の戦いの時である。

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