アッティラ

[中央アジア−古代・ローマ帝国]

フン族の全盛期を築いた王。 この頃のフン族はドナウ川流域を本拠地として周辺諸国に恐れられていた。 始めは兄弟のブレダと共同統治をしていたが、その死後絶対的権力を握り、 積極的な侵略を開始する。 ゲルマン諸部族を侵略させてその大移動を誘発し、 東ローマへ侵攻してその領土の一部と貢納を手に入れた。 次いで西ローマへと侵攻したが、西ローマとゲルマン族が同盟を結ぶと撤退し、 その帰路シャロンの戦いで敗北した。 その後体制を建て直し一時ローマ近郊まで迫ったが、何故か深入りせずに撤退した。 その翌年彼が急死すると、フン族の勢力は急速に衰え、歴史から消滅した。
遊牧民で文献記録を残さなかったことからその事跡には不明な点が多く、 他の遊牧民の英雄 (例えばチンギス=ハーン) 同様多くが謎に包まれた人物である。 しかし、そのヨーロッパに与えた衝撃は大きく、 後世伝説の中にアトリ (エッダ) ・エッツェル (ニーベルンゲンの歌) 等の名前で登場している。 ただし、当然のことながらゲルマン人の敵である彼はあまり嬉しくない役を与えられている。

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