南北戦争(なんぼくせんそう)

[北米−近代]

アメリカ合衆国が南北に分かれて行われた内戦。 アメリカ人同士の内戦だけあってアメリカが戦った多くの戦争の内 最もアメリカ人の戦死者が多かった戦争である。 商工業主体で奴隷制を禁止する自由州の北部と 大規模農業(主に綿花)主体で黒人奴隷を使用する奴隷州の南部の対立は深まり、 カンザス=ネブラスカ法の成立で均衡が崩れた。 そして奴隷制反対派のリンカーンが大統領となったことで 南部奴隷州の不満は頂点に達した。 サウスカロライナ州を皮切りに南部諸州が合衆国からの脱退を宣言し、 アメリカ連合国を結成してこれを認めない合衆国政府と対峙した。 そして連合国軍がサムター要塞を攻撃したことで内戦が始まった。 緒戦ではアメリカ弱体化を図るヨーロッパ列強の支援を受け、 またリーやジャクソンといった有能な司令官が所属し 郷土防衛の意識から士気が高かった南軍が優勢であったが、 リンカーン大統領による奴隷解放宣言で列強の世論が動き南部支援から手を引くと 徐々に人口や工業力・経済力に勝る北軍が巻き返した。 さらにグラント・シャーマンら北軍の将軍は敵地を焦土化して南部の生産力を奪い、 継戦能力を奪って南軍を降伏に追い込んだ。 南北戦争で北軍=合衆国が勝利したことで、 州ごとの独立傾向が抑えられ合衆国の統一性が強化された。 また奴隷解放宣言によって奴隷制は廃止されたが、 特に南部での黒人差別は解消されず後々まで残ってしまった。

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