絶対王政(ぜったいおうせい)

[ヨーロッパ−近世]

王が絶対的な権力を行使する政治体制。 中世ヨーロッパでは地方領主である貴族や教会の権限が強い 地方分権的な封建主義が支配的あったのに対し、 近世では中央政府が官僚と常備軍の力により中央集権的な体制を確立、 その頂点に立つ王に権力が集中する絶対王政が確立した。 イングランドのテューダー朝やフランスのブルボン朝が典型で、 特に「朕は国家なり」という言葉を残したブルボン朝ルイ14世が有名。 何れも薔薇戦争、ユグノー戦争という内乱を勝ち残って生まれた王朝であり、 ルイ14世も幼少期にフロンドの乱を経験している。 この経験が絶対権力把握へと邁進させたと思われる。 尤も実際には中央集権体制も盤石ではなく、 ギルドや貴族の支持を集めることで体制が維持されていた。 体制維持のため王権神授説や社会契約論などの思想も生まれたが、 社会契約論は絶対王政に批判的な啓蒙思想へと変化していき、 絶対王政を崩壊させる市民革命と結びついた。 これら西ヨーロッパに対してプロイセンやオーストリアといった東側の国家では 中央集権体制の確立が遅れ、 啓蒙思想と結びついて啓蒙専制君主制が生まれた。

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