クリスマスも近づいたある晩のこと。
世話人のお母さんから一本の電話が入った。
空を里子として迎えたいという人がいるという。
「一番可愛がっていたのは貴方だから、どうするかは貴方が決めて」
私にとって青天の霹靂だった。
その場ですぐ返事をすることができず、電話を切った。
しばし何も考えられない状態。
空との日々はもう完全に私の生活リズムの一部になっていた。
それが突然に打ち切られる日が来ることは考えていなかったのだから…。
いや、実は心のどこかでそういう日が来ることを予感してはいたかもしれない。
ただその日が一日でも遠い未来であることを願っていただけだったのかも。
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