空は見栄っ張りだった。
猫広場で他の三匹の目があるところでは、私とはちょっと距離を置きたがる。そのくせ、時々上目遣いで私を見つめて「早くお散歩に行こう」と催促する。
お散歩に出て、他の猫の目がなくなるととたんにデレデレの甘えん坊になってしまう。途中の路地でも公園でも、ところかまわず擦り寄って来ては「撫でて!」と要求する。
お散歩の時間は日を追うごとに長くなっていき、お母さんがエサを持って広場にやってくる時間をオーバーすることも。しばしば時計を見ながら空に「帰ろうか?」と促すのだけれど、「まだここで遊ぶの!」と駄々をこねるような顏をする。
雨の日はお散歩には出られない。
そんな日は、屋根のある広場の片隅へ。
他の猫たちから死角になる柱の蔭や、ちょっと離れた倉庫の屋根の下で私に甘えた。
空は典型的な末っ子だったかもしれない。
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