空にとって二度目の冬。
この年も厳しい寒さだった。
大寒を超え、立春を過ぎ、まもなく雨水を迎えようとする頃、空が風邪を引いた。
外で暮らす野良猫にとって猫風邪を引くということは即命取りになる危険がある。寝床の毛布の中でうずくまったまま、何も食べようとしない空。お母さんと二人で流動食を無理やり食べさせようとしたのだけれど受け付けない。止むを得ず病院に連れて行って点滴をしてもらった。
病院でもらった薬を飲ませる算段に四苦八苦…。
人間でもそうだけど、風邪というのは完治させる薬というのは存在しない。症状を和らげるだけ。とにかく治る時期を待つしかないのだけれど、毛布を敷いただけの野外の寝床で空の体力が持つかどうか。
その日から毎朝毎晩、平日も仕事の行き帰りに空の様子を見に通った。猫の風邪は全治するとしても平均で半月から三週間。その間、もう一度栄養剤注射に病院へ。
今はもう完全に大人猫になった空を母猫愛ちゃんが体を寄せて温めていた。
そんな様子を見て、祈るような気持ちで過ごした日々だった。
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