まだ誰もいない早朝の公園は空のひとり天下。
記念碑の石段、窓の空いた「秘密基地」、そしてすべり台。
こっちが飽きるとあっちへ。その様子を見ていると人間の子供とまるで変わらない。
特にすべり台が大好きだった空。
その遊び方が面白かった。上から滑り下りるわけではない。下から上に向かってよじ登ろうとする。でもいくら爪を立てても上まで登り切ることはできず、途中から後ろ向きにズルズルズル~と滑り落ちる。
見ていた私は思わず声をあげて笑ってしまうのだが、それを聞いて意地になったのか、空は何度も何度もよじ登ろうとする。でもその度にズルズルズル~。
しまいにカンシャク起こして反対側の階段から上に登るのだけれど、そこから下を覗いた空はちょっと戸惑ったような視線を私に投げる。人間の子供のように滑る勇気は出なかったようだ。
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