その猫に初めて会ったのはある夏の日。
町はずれの駐輪場に野良猫の世話をしているおばさんがいる、という話を聞いたのがきっかけだった。
そこにいたのは6匹の猫。キジシロの雄の老猫、茶トラの若い雄、長毛の三毛…そして真っ白な猫が三匹。
白猫は親子。二匹の仔猫は生まれて5ヶ月ほどでだいぶ体は大きくなってきていた。一匹は雄、一匹は雌。雌の方はもう避妊手術を終えたようで耳カットがされていたけど、雄の方はまだ生まれたままの耳。
この雄猫がなぜか初対面の時から、なぜか逃げもせずに私をじっと見つめていた。こちらから近づくと後ずさりするくせに、こっちが距離を取ると近づいてくる。
今考えれば、互いに何かを感じ取っていたのかもしれない。
やがて日を追うごとに私とその雄猫との距離は少しずつ縮まっていった。
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