まえがき 草凪みかん  

これは、二年半の間私と心通わせてくれたある野良猫の写真をまとめたものです。
その猫は今はもう私の手の届かないところに行ってしまいました。
でも、その温もりは今でも私の腕と胸にしっかりと残っています。

私の心に宝石のようなたくさんの優しい思い出を残してくれたこの愛しい猫の記録。
それを一冊のアルバムにして残したい、という思いはずっと持ち続けてはいましたが、
実際のところ気持ちの整理がなかなかつかず、春が来て、夏が来て…。
別れの日から半年余り。
ようやく時の魔法が寂しい思いを愛しい記憶にすっかり変えてくれた頃にはもう立秋を過ぎていました。

今は、この猫と出会えたのは本当に幸せだったと改めて思えるようになりました。
私にたくさんのちいさな幸せをプレゼントしてくれた白い猫。
「本当に大切なもの」「本当に大切なこと」とは何かを教えてくれた白い猫。

この同じ空の下のどこかで今は幸せに暮らしているはずです。
その青い目は今は何を見つめているのでしょうか。

90ページを超える長いアルバムになりますが、最後までご高覧いただければ幸いです。
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