牧の原遠望 

 大井川鐵道での撮影というと、ほとんどの場合五和から北で撮る、ということが多くなります。
 それもそのはずで、五和以南金谷までは住宅地の中を走るためそれと意識して撮らないとなかなか絵にしにくい…。撮影対象が電車であればそれも一興で、生活感あふれた写真が撮れるというものですが、蒸機となるとやはり町中はねぇ。(^^;
 しかも、住宅地を走るということで、蒸機列車はどの列車も煙を可能な限り押さえ気味にして走りますから、よほど気温の低いときでないと煙を吐いて走る姿が見られるのは新金谷から発車してしばらく加速する間のみということが多く、まして春から初秋までの間はまず「正直者にしか見えない煙」に近い状態。特に補機がついている時などは、五和を通過して釜谷の登りにかかるあたりまではかなり補機に「おまかせ」のようで。(^^;
 この日は、その五和築堤の登りを俯瞰しようと思って、大井川対岸の山に登ってみました。
 曇り気味ながら比較的空気の澄んだ日で、五和の築堤から日切、代官町、新金谷そして大代川のカーブから金谷の手前まで見晴るかすことができました。
 金谷の町を一望するその向こうには、広い高台。これが日本一の茶園と言われる牧の原台地。
 こうして見ると、金谷の町とかなりの高低差があるのがわかると思います。この広大な牧の原台地のはるか向こうが御前崎…。浜岡に続く巨大な高圧線鉄塔の行列がはっきり観て取れます。

新金谷〜代官町

 金谷が大井川鐵道の起点ということで、金谷町(今は島田市金谷ですが)というのは大井川の下流:河口近くに位置すると誤解している方もおられるようですが、大井川の河口はまだまだはるか南。金谷は大井川が下流から中流にかかるちょうどその境目に位置します。あの高圧線の行列のさらに向こう…。
 汽車が走っているのはちょうど新金谷を発車した直後、最初の踏切を過ぎて進行方向右手が開けるあたり。この日は補機がついていない日で、さすがにマジメに発車後のスパートをかけていたようです。目を左に移せば、新金谷の駅舎とプラザロコが見えます。(白く目立つ工場の右下あたり)
 ちょっとわかりにくいですが画面左端に大代川橋梁へのカーブ。そのまま大井川鐵道の線路は木々に隠れて右手に伸びています。よく見ると東海道本線上を走っていく貨物列車の列が…。金谷の駅は画面右端のさらに右手ですが、丘の陰になって見えません。
 実はこの写真、メインカットを撮る前の「ウォーミングアップ」的カットだったんですが、今こうして改めて見ると金谷の町を一望したカットは珍しいよな…と思って今回UPしてみました。「家がゴチャゴチャ写る町中の俯瞰なんて…」と思ってたんですが、こうして見るとこういうのもけっこう悪くないかも。
 やがて代官町を通過したあたりで汽車はほとんど絶気状態になって、日切のアンダーパスを過ぎたあたりからまたやおら白煙が出始め、五和からは爆煙状態で登っていきました。
 この日狙ったメインのカットは↓です。まるでドミノ倒しのように並んでいるのは第二東名の橋脚。今はもう桁が架けられて完成間近い姿になっています。

五和〜神尾

(2002年2月 上:新金谷〜代官町、下:五和〜神尾 同一地点より撮影)