煙の軌跡
1999年12月。
山形新幹線の新庄延伸を記念して、陸羽東線にC57180が12系客車4両を牽引しての特別列車「SL奥の細道湯けむり号」が運転されました。試運転を含めると3週にわたるビッグイベントでしたが、私も試運転3日間、本運転2週目に2日間の計5日撮影しました。
この時は、山形新幹線「つばさ」とC57180の併走が人気を呼びましたが、裏を返せば復路の運転時刻があまりにも遅く設定されていて、南新庄から先はほとんどマトモな撮影ができない明るさになってしまったから、ということもあります。しかし、私たちはそんな「いかにも」のイベントには目もくれず、ひたすら返しの列車は暗い中で露出不足の写真を撮っていたのでした。
そんなワケですから、当然メインは往路の小牛田→新庄、その中でも鳴子こけし館からの俯瞰はスサマジイほどの人が集まるお立ち台と化していました。結局最初の週はここで2日間撮ったんですが、、そこそこ明るさのあった初日とはうって変わって2日目は小雨がそぼ降るあいにくの天気。空には雨雲がたれこめ、露出は落ちる一方…。
そんな中やってきた汽車は、雨ならではの白爆煙を高々と吹き上げ、その高く上がった煙がSカーブの上空に軌跡を描いていつまでも残っていました。1/60secでやっとf2.8、それでもアンダー気味(ISO40)…そんな露出不足の状況下ながらひたすら煙に魅せられて連写。
山口線、山線のC62、中国…さまざまな場所で「爆煙」は見てきましたが、このようにきれいに軌跡を描いた白爆煙というのは、その後今に至るもまだお目にかかっていません。地形と雨と適度な低温…この三条件が重ならないと見られないシロモノだったんですね。
最後の一枚はなんとも中途半端なところでシャッター切ってますが、もちろんこの直後のカットも狙っていたのです。しかし…興奮しすぎてフィルムを使い切っていたのでした。(^^;
↓そのちょと先のカットの方は6×7で撮ってはいるんですが、やっぱり長いタマでこの手前のメインを撮っておきたかった…。
2004年のD51運行の際は「夢よもう一度」でここに行かれた方も多いのでは…?
(1999年12月 陸羽東線 鳴子温泉〜中山平温泉)