ねこたび日記

2022年5月21日(土)曇り 佐柳島 三日目 
今朝も日の出は見られませんでした。今日は一日曇りの予報。高知や愛媛では雨が降るとか…。

気温はやや低い。シャツの上に長袖を羽織ってちょうどいいくらい。15~6℃というところでしょうか。

朝の凪の時間。風はありません。
猫たちにとってはちょっと寒いかな。もう換毛終わって夏毛になってる子も多いでしょうしね。

温暖な瀬戸内。冬場であってもさほど厳しい寒さにはならない。強い風が吹くこともあまりない。台風は来るけれど、四国山脈を越えて来るころにはたいてい勢力が衰えている。冬場、北からの冷たい風は北の中国山地で減殺される…ある意味彼らにとっては理想的な生息地かもしれないですね。まして優しい島民の方が世話をしてくれるとなれば。
少なくとも「食」の心配はしないでいいのだから。

ここの猫たちの顔がどの子も温和に見えるのはそのせいでしょうね。
厳しい環境に住む猫たちの顔はやはり厳しい顔をしていますよ。そういう島はいくつもある…。

もちろん飼い猫のような充分なケアはしてあげられないから、中には毛並みの粗い子もいる。いつも目ヤニを貯めている子もいる。
それでも、彼らは格段に幸せだと思います。他の島に住む猫たちと比べれば。この島と比肩できるのは田代島と睦月島くらいじゃないかな…。
SNSなどでもてはやされている相島や姫島の猫たちもここの子たちほど恵まれてはいないと思う。

朝の腕立て伏せ?
「い~ち、に~い…」

頑張れ~。(^^;
この子、愛想がよくて「遊んで、遊んで♪」と寄ってきます。
じゃあ、私もちょっと朝の運動兼ねて。

後でシカトを決め込んだフリしてた子が突如参戦したりして。
雨が降るんじゃないか、と思うほどちょっと黒っぽい雲が上空にあったんですが、幸い雨は落ちませんでした。

黒猫さん、こういうお天気だと顔がわかりません。ほとんどシルエット。

ネコノシマホステルに戻り朝食。
朝食時間は9:00なんですよね。ちょっと遅いと思う人もいるでしょうけど、朝の「猫散策」をしてからだとちょうどいい時間。今は陽が長い時期だけど冬場になると日の出時刻は7:00以降ですからね。
食事を終えて部屋を引き払います。今日はチェックアウト。
一休みしてから荷物をまとめて鍵を返して。帰りの船が出る前の15:00頃まで荷物を預かってもらうことにして再び外へ。
今日は土曜日。たぶん9:55着の船で猫目当てにやってくる人がいるでしょう。その人たちはまず本浦を散策するでしょうから、私は午前中は長崎に行くことにしました。とりあえず人が少ないほうへ。もっとも船に乗って来る人って土日でもせいぜい10人いるかいないかですけどね。この島、マイナーだから。
昨日と同じ道を歩いていくと、長崎集落の手前で私を見つけて鳴きながら駆けてきた子が。

なんかこうやって懐かれるとついついゴハンあげたくなっちゃうんですよね。(^^;
バッグからカリカリを出して、道の端っこに寄ってこの子にあげます。
そうそう、島で猫に餌をあげるときの注意。道路の真ん中ではやらないこと。住居の前でもあげないこと。少なめにあげること。
これが三原則です。一応この子たちは島の方々から餌いただいていますからね。佐柳島は一応外来者も餌やりOKの島ではありますが、節度は守ってくださいね。
その後、私を長崎の港までエスコートしてくれました。

この三毛の子はどうも長崎の乗船所付近で暮らしているようですね。この子は避妊手術受けているようです。

この後、集落の方が来て頭を撫でてもらっていました。
「猫見に来たの?」
「はい」
「本浦の猫とこっちの猫とどっちがかわいいかね?」
返答に困る質問をされてしまいました。(^^;
この質問ひとつ取ってみても、かわいがってるんだな~というのがわかります。
昨日会った美人さん。

この子はよく見るときれいな目の色をしているんですよね。
長崎集落にある池大明神。
佐柳島って周囲6.6kmの小さな島にしては鳥居が多いことに気づかれる方もいると思います。6つも神社があるんですよ。お寺も2つある。
信仰に厚い島なんですね。

昨日の堤防わきに来てみました。。

今日もたくさんの子がたむろしてます。ゴハン食べる子、水を飲む子、マッタリ佇む子。

ただ、今日は海風がちょっと冷たいせいでしょうか。
トイレで猫団子になってる子たちがいました。(^^;

私の膝の上にも2匹乗ってきて。

昨日に比べると海もちょっと波が立ってるね。

私の後ろから「なんだなんだ」と下りて来る子たち。

あ~~!私のバッグが。頼むからマーキングだけはしないでね。(^^;

しばし猫たちと一緒に休憩。ちょっと海風が冷たいけど膝に乗ってくれた子たちが温めてくれる。二匹の背中を撫でながら海を眺めて。至福の時間。
さて、この長崎集落にも埋め墓があります。この堤防のすぐ下。
というか、本浦よりもこっちのほうが有名なようで。

県指定有形民俗文化財になっているんですね。
現役のお墓ではあるんですが。
「埋め墓」は「詣り墓」とは違って石を野積みにした感じになっています。その前でお詣りをすることがないわけですから整地する必要もないわけですよね。
元来「埋め墓」は土葬であって火葬を行わずに遺体を埋めていたそうですが、さすがに現在では衛生上の問題もあって火葬した上で埋め墓を作っています。
ただ、両墓制のしきたりそのものはまだ現存しているそうです。おそらく現役の両墓制を保っているのは佐柳島をはじめとしたこの塩飽諸島だけではないでしょうか。
高見島や塩飽本島にも両墓制墓地はあります。

お墓の規模としては本浦よりもこの長崎のほうが大きくて広いですね。本浦の墓地は山の斜面の麓だけにこんなに広大じゃなかった。

ここも猫たちの遊び場になっているようで。

ここに眠るご先祖様たちは波の音を聴きながら、猫たちの遊ぶ姿を微笑んで見ているんでしょうね…。

帰りがけに会った三毛猫さん。

この子の顔の毛色、ちょっと面白いですよね。青島のドキンちゃんを思い出してしまった。(^^;
お昼を回ったのでネコノシマホステルに引き返し昼食。
食事をしたあと、ちょっと「ココロちゃん」に遊んでもらいました。(^^;

この子の体のハート模様ですが体の左右ほぼ同じ位置にあるんですよ。昨日は右側にある写真載せてましたよね。

ほんとに見てると幸せになれそうな♪

例の郵便局。
浮き球に猫の顔を描いている若い女性がいました。

この「猫の浮き球」、本浦集落のところどころで見かけます。かつては高齢の島民の方が描いていたそうですが、ご病気になられて今は島を離れて本土で入院生活だとか。この女性はその方から手ほどきを受けて浮き球の顔描きを引き継いでいるそうです。
四国本土と佐柳島の間を往復しているそうで、島内に泊ることもしばしばだといいます。
「来た人がこの猫の絵を見て『また佐柳島に来たい』と思ってくれる人が一人でも増えてくれれば」という思いで描いておられるのだそうです。

「猫島」という名で呼ばれている島々は、どこも高齢者ばかり。平均年齢70歳を超える島がほとんど。この佐柳島も例外ではありません。
それでもここでは、ネコノシマホステルを経営されているご夫妻を始め、少しずつではありますが若い世代が島を継いでいこうという機運が生まれてきています。
「自分たちのふるさとを何とか守りたい」と。
応援したくなりますね。
午後2時近くなって、ちょっと雲間から日も差す時間も。それでも今日は一日ちょっと肌寒かった。明日は27℃超えになるんだそうで…。

もっとも27℃で「暑い」って騒ぐのは人間だけで、猫たちにはそのくらいのほうが体感的にはちょうどいいのかも。
猫と人間、体感温度は3℃ほど差があるって言う人もいますし。

青い花が咲く草むらで二匹の仔猫に乳を与えている母猫。
そ~っと覗き込んでみると…。

一匹は一心不乱にお乳を飲んでいるのだけれど、もう一匹はお腹いっぱいになったのか両手をあげてやんちゃに動き回ってます。

母猫が途中で頭もたげて「何してるの!」とたしなめているような。(^^;
しばらく親子の様子を眺めた後、そ~っと足音を忍ばせてその場を離れました。
お約束の飛び猫。空は白っぽかったのが残念。この直後、私の持ってたジャラシは壊されてしまいました。
飛び猫撮影ってジャラシ使うんだけど、一度に二匹に飛び掛かられると…。今日の夕方丸亀のドンキで買ってこないと。(^^;


そろそろ船の時間。ネコノシマホステルに戻って荷物を受け取り港へ…途中で会う猫たちが「もう帰るの?」と言っているようで。

ちょっと後ろ髪惹かれますねぇ~。

猫たちとのんびり過ごした三日間。やっぱり佐柳島は最高です。

次に来るのは秋かなぁ。台風シーズンを避けて10月末か11月上旬か…陽射しが柔らかく感じ始める時期でしょうね。

楽しかったよ♪
ありがとう、佐柳島の猫たち。そして島民の皆様。また秋に来ますね!

今夜は丸亀に宿泊。明日は塩飽本島です。
後編 「塩飽本島」「青島」「睦月島」に続く
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