Northern White ~北の絵日記~

 
 2月6日(月) 腫れ 
 
朝8:30。釧路駅。
8:57発、釧網線網走行き快速「しれとこ摩周号」3728D。

釧網線には珍しい2両編成のこの列車。摩周・斜里方面に向かう列車としてはこの列車が一番混みます。というより、この列車の後はSLを除けば14時台まで列車がないんですよね。釧網線の列車ダイヤ、寂しくなりました。かつては一日15往復近くあった路線なのに。

平日ということもあってか、比較的空いていました。というより中国人観光客がいませんからね。4年前は車内に入ると中国語が飛びかっていたものでしたが。
この列車で茅沼に向かいます。
30分ほどのささやかな列車旅。車窓から釧路湿原を眺めながらのんびりと。
茅沼9:42着。

この駅で降りたのは私一人。着いた当初はチラチラ小雪が舞っていました。

ホームから見ればひと番のタンチョウがのんびりと。

今日の撮影地はここから徒歩約1時間。と言っても、目的の9380レが来るのはまだ2時間余り先ですから時間的には充分すぎるほど。
じゃあ、のんびりと行きましょうか。
駅前の道を右手へ歩くと15分ほどでかつての温泉宿泊施設「憩の家かや沼」に着きます。
今はここは休館中。4年前、標茶町が管理運営を任せていた「株式会社標茶町観光開発公社」が破産。その後も新たに町が指定した業者が辞退するなどして一向に再開のめどが立っていません。ここはいい宿だったんですけどね。眺めのいい露天風呂があって部屋も広くて…。ここがもし営業再開していたら、最初の三泊は間違いなく釧路ではなくここに宿をとったでしょうが…。
今はこんな有様。

一日も早く再開してくれることを祈るばかりです。
この「憩の家」の前から南に向かって一周約30分ほどの周遊遊歩道が伸びています。その道を歩いていくと突端に釧路湿原を望める展望台が立っているのですが、その脇から細い道が斜面を下っています。ちょっと急な階段になっていますが、その道を下ります。すると木道が現れ、二カ所で湿地を渡ります。この木道、ところどころ木が腐っているところがあるのでよく注意して歩かないと湿地帯に足を突っ込んでしまうことになります。初めての方は決して一人では行かないでください。
湿地帯を抜けると道はゆるやかな登りになり、やがて傾斜がなくなって視界が開けてくると…

だだっぴろい釧路湿原の中に線路築堤を望む場所に出ます。ここが目的地。
正確に言うと線路のこちら側手前はシラルトロ湖、向こう側が釧路湿原ということになりますが。
見ての通り展望スペースが設けられていますが、ここも木が朽ちている箇所があって…修復してほしいなぁ。標茶町。(^^;

誰もいませんでした。(^^;
夏場なら遊歩道を歩いてくる観光客も多少はいるかもしれませんが、この季節にここに来るもの好きは鉄な人くらいなもの。
にしても誰もいないって…最近は根性ある鉄が減りましたね~~。情けない。
実は今日ここに来るかどうかは天気予報をよく熟考した結果。
釧路湿原を俯瞰で眺める場所というのは釧網線沿線で数多くありますが、アイレベルで湿原と線路をともにアングルに収められる場所というのは沿線でもここだけなんですよね。それだけに屈指の撮影地なんですが、ただ難点は北西風が吹く日は煙が手前に倒れてしまい列車を隠してしまうということ。もとよりこの季節の道東は北西風が吹くのが常ですから、無風もしくは微風と言った条件に恵まれた日だけ使える撮影地なんです。

今日の風、予報では11時から13時の間はほぼ静穏。
確かに風がない。おかげでちょっと暑いくらい。1時間も歩いてきたんでちょっと背中に汗をかいています。これを冷やすと風邪のもと。
背中に仕込んでおいたタオルを汗が出きったころを見計らって首から抜き取ります。冬の北海道で長時間歩いた後の撮影では絶対に必要な工夫。
しばし湿原を眺め、時折聞こえるシカの声や小鳥の声に耳を傾けながらのんびり腰を下ろして…一応小さなレジャーシートは持ってきてます。直接雪の上に座ると腰冷やしちゃいますからね。
列車の通過時刻は正午過ぎなので、ちょっと早目に昼食。

え?これだけかって?
ハイ、これだけです。(^^;
おにぎりやパンという手もなくはないのですが、買ってから零下の気温の中に長時間さらされたおにぎりはおいしくないし、何より包装しているフィルムが散乱しやすい。風であおられて飛んで行ってしまったら結果的にゴミを投げ捨てることになってしまいます。それを野生動物が口にしてしまう可能性もある。これはパンも同じ。カロリーメイトだと箱型だけにその危険性は薄れる。自然地ではゴミを出さない配慮は必要ですよね。ちなみに冬の道東では空気が乾燥しているので飴類は必須ですが、これも可能な限り缶入りのドロップにするようにしています。包み紙のないものに。
これだとお腹が空くのでは?と言われそうですが、その分夕食で食べればいい。(^^;
結局誰も来ませんでしたね。
こんないい場所を独り占めというのは嬉しいですけど反面寂しい気も…。
ただ、人は来ませんでしたが、私がここに着いた直後に一機ドローンが北の方から飛んできました。けっこうな高度を飛んでいたんですがうるさいんですよね、飛ぶ音が。ハチが飛んでるみたいで。
たぶんその下にいたエゾシカを撮っていたんだろうけど、シカたちは落ち着かない様子でウロウロしてましたよ。その右手にタンチョウの番もいたんですが茅沼駅の方に飛び去ってしまいました。国立公園内でのドローンの飛行には原則許可が要るはずだけど、ちゃんと許可取ってるのかな~。
「野生動物を脅かさないように」ってなってるはずなんだけどね。
まあ、10分ほどでまたどこかへ飛び去っていきましたけど。
撃ち落としてやりたかった。(^^;
あ、でもそうすると却って野生動物の迷惑になるな。
正午近くなって塘路発車の汽笛が聞こえてくる。晴天無風。条件は絶好。シラルトロ湖の縁を回るように走って来る「湿原号」9380レ。

さっき乗った3728Dの車窓からはあのあたりにもタンチョウの番がいたのを確認しているのでひょっとしたら姿を見せるかなと思っていたんですが、私がここまで歩いてくる間にどこかに移動したようで白い姿は見えませんでした。それとも彼らもさっきのドローンを警戒してどこかに隠れたかな?

煙はきれいに靡きましたね、全然倒れずに。

いかにも「湿原号」らしい絵が撮れました♪
そう、せっかく釧路に来たなら、ここでしか撮れない絵を撮っていきたいよね。「斜め正面煙モクモク」なんて釧網線じゃなくてもどこでも撮れるでしょ?
これ一枚撮れただけで今日の収穫は充分。さて、駅に戻りますか。
来た道を戻り、茅沼の駅近くの踏切まで来るとちょうど標茶で9380レと交換した3728Dが茅沼を出るところ。
帰りがけの駄賃?で一枚。

返しの9381レはワンパターンではあるけれど、ここで発車を撮ります。
どうしてもここに来るとSLよりもタンチョウのほうが気になってしまうんですが。(^^;

最近はタンチョウも慣れたのか、汽車が来てもあまり逃げなくなりましたね。以前は汽車が来る前に飛んでしまうということが多かったんですが、けっこう線路近くにいて…。
C11171の横で踊ってたりする。(^^;

そのままタンチョウは後ろの客車のほうに動いて行って…。

サービス精神旺盛?ですね。車窓のすぐ前で二羽でダンス♪
車窓から見てる乗客の皆さんが歓喜しているのが目に見えるようです。
ここでは発車の汽笛は鳴りません。
見事な煙を残して茅沼を後にしました。

さてこの後ですが…釧路に戻ろうとするとなんと17:53まで列車がありません。以前は1時間後に下り列車があったのですが、数年前の改正で間引かれてしまって…3時間半!
さすがにここのタンチョウの撮影でそれだけの時間はつぶせないし、何よりあと2時間で日が沈んでしまう。「憩の家」がある頃はゆっくり温泉に浸かって食事をしてということもできたんだけど、今はその選択肢がない。だから…。
反対方向の網走行き列車がさっきの9381レと塘路で交換してやってきます。それに乗ってちょっと乗り鉄でもしましょうか。
14:52発の4730Dに乗ります。

行先は川湯温泉。ちょうど1時間ほどの手頃な列車旅。車窓からかつてのお立ち台、石山を見ましたが昔の面影はもうないですね。
そういえば湿原号の川湯延長ってもうないんでしょうかね…。
川湯温泉駅。さすがにこの季節のこの時間だと人っ子一人いません。駅併設のお店があるんですが、この日は休業日でした。

わざわざここまで来たのは理由があって…バッグからタオルを1本出して♪
そう、実はここ、足湯があるんですよ。もちろん無料で誰でも入れます。

釧路行き列車まで1時間あります。ゆっくりと足湯に浸かって、暖かい部屋で休憩。
ささやかだけどちょっと温泉気分に。

同じ列車で来た人がいていろいろ雑談をしました。その方もここの足湯を楽しみにしてきたそうです。私が乗る釧路行きよりも1時間遅い網走行きの列車に乗るとのことで今夜は知床斜里に泊りだそうです。流氷を期待して来たのだけれどまだ接岸していないらしいとのこと。
私は16:52発の4729Dで釧路に戻ります。
陽が沈むとさすがにしんしんと冷えてくる。

釧路到着18:45。
明日は「湿原号」に乗るつもり。駅の窓口で指定券を買いました。

この時間だと飲食処はどこも混んでる…今日はコンビニ弁当で我慢するかな。(^^;
明日もいいお天気のようで。山登り、かな。

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