サヨナラ原発けいじばん

この本読んだ?


「本の紹介」一覧
次の本にはその本の魅力とポイントをがよくわかる紹介文があります。是非ご一読を。
文末のイニシアルは書き手を表します。表示のないものは開設者によるものです。
タイトルをクリックするとジャンプします


『核を乗り越える』

『原発 決めるのは誰か』

『原発ゴミはどこへ行く?』

『ご当地電力はじめました!』

『坂本龍一×東京新聞 脱原発とメディアを考える』

『日本人はなぜ考えようとしないのか 福島原発事故と日本文化』

『日本列島では原発も「地層処分」も不可能という地質学的根拠』


『福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞』


『放射線像 放射能を可視化する』

『ルポチェルノブイリ28年目の子どもたち ウクライナの取り組みに学ぶ』

「本の紹介」新着!

『終わりなき危機 日本のメディアが伝えない、世界の科学者による福島原発事故研究報告書』 
ヘレン・ カルディコット/監修 ブックマン社 2015年
  2013年ニューヨーク医学アカデミーで、フクシマの医学的・生態学的影響についてのシンポジウムが開催された。世界の著名な科学者たちが集い、医学・自然科学・生物学・工学など多角的視点から論じられた。本書は、その時の研究報告などを編集したものだ。発表された最新のデータや研究結果は、「原子力産業、IAEA、WHO、ICRP、などが奨励している『安全な放射線被曝』という考えを根底から覆す」内容で、警鐘を鳴らすものだが、果たして日本政府に聞く耳はあるだろうか。本書の文中に、ニューヨーク電力公社の元ゼネラルマネージャー、デイヴィッド・フリーマンの印象深い言葉がある。安倍晋三首相は「私が会った全政治家のうち、日本の子供たちが直面している危機と、4号機にある使用済み核燃料の危険性を最も軽んじていた」。(M)

『朝日新聞「吉田調書報道」は誤報ではない 隠された原発情報との闘い』 
海渡雄一、河合弘之ほか/著 彩流社 2015年
  日本のメディアの翼賛化が静かに進んでいる。「国境なき記者団」が発表した<2015年報道の自由ランキング>で日本が61位に下落したことが、何よりの証左だ。権力に対峙してこその<報道の自由>だが、そのためには記者クラブに依存しない調査報道が大事だ。朝日新聞の吉田調書報道は、二人の記者の徹底した調査により、真実を明らかにするものだった。彼らの努力で、政府や東電が隠蔽していた情報は結果的に公開された。本書は、「勇気ある記者に対するいわれなき誹謗中傷を否定し、彼らの名誉を回復したいという気持ち」から、原発事故情報公開原告団・弁護団によって上梓された。(M)


書名の50音順

『大間原発と日本の未来』

野村保子 寿郎社 2015年

『核を乗り越える』
池内了/著 新日本出版社  2014年  
  宇宙物理学者である著者が、戦後の核開発史とそれに同調してきた日本の状況をたどり、原発事故を経て提起された様々な問題点を科学者の立場で論じる。さらに、持論の「地下資源文明から地上資源文明への転換」の必要性に言及。原爆・水爆・原発いずれもの被害を受け、核の脅威を知る日本人だからこそ、世界の範として「核を乗り越える」意志を明確に表明し、地上資源文明への転換を図るべきだと説く。説得力ある提言だ。(M)

『原発紙芝居 子どもたちの未来のために-とても悲しいけれど 空から灰がふってくる』

斉藤武一 寿郎社 2013年

『原発 決めるのは誰か』

吉岡斉ほか/著 岩波ブックレット 2015年 
国民の多数の意思を無視して、原発がまた動き始めた。
私たち市民は原子力政策に関われないのか。市民グループ<みんなで決めよう「原発」国民投票>が行った公開シンポジウムでの、吉岡斉と寿楽浩太両氏の報告、宮台真司と杉田敦を加えた4氏の討論を収録。
現在、原子力小委員会の委員である吉岡氏は、原子力政策の決め方が元に戻り、エネ庁が議事を統制し推進派が圧倒的多数で会を押し切っている、と語る。科学技術社会学が専門の寿楽氏は、政策に民主主義(正統性)を取り入れるためには「どの価値を大事にしたいかという議論から始める」ことが必要と言う。(M)


『原発ゴミはどこへ行く?』

 倉澤治雄/著 リベルタ出版 2014年
 原発の再稼働を目前に控え、政府が「高レベル放射性廃棄物」の処分地選定に動きだした。科学的有望地を政府主導で決めるという。政府が<科学的>という言葉を使うときは、「およそ非科学的なことをゴリ押しするとき」だと看破する著者が、スリーマイル島、チェルノブイリ、フクシマで、原発事故の<事実>を見、オンカロ最終処分場、六ケ所村、幌延で、「高レベル放射性廃棄物」処分の<現実>を視察する。原発を動かすだけ積み上がる「原発ゴミ」。覚悟なき再稼働は次世代への犯罪であり、その意味で私たちの良心が問われる、と著者は言う。(M)

『原発と教育』

川原茂雄 海象社 2014年

『高校教師かわはら先生の原発出前授業①大事なお話 
よくわかる原発と放射能』

川原茂雄 明石書店 2012年

『高校教師かわはら先生の原発出前授業②本当のお話
 隠されていた原発の真実

川原茂雄 明石書店 2012年

『高校教師かわはら先生の原発出前授業③これからのお話 核のゴミとエネルギーの未来』

川原茂雄 明石書店 2012年

『ご当地電力はじめました!』

 高橋真樹/著 岩波ジュニア新書 2015年
 自然エネルギー資源の豊富な日本だが、3.11後もその発電量はあまり伸びない。何故か。国に「自然エネルギーを広める意志」がないからだ。そんな国や電力会社を当てにせず、自力でエネルギーをつくり始めた人たちがいる。福島県の会津電力、岐阜県石徹白の小水力など各地の「ご当地電力」を紹介。地域の自立をめざし奮闘する彼らが、課題解決のため全国のネットワークを作り、情報交換や連携して声を上げ始めたことも紹介する。(M)

『坂本龍一×東京新聞 脱原発とメディアを考える』

東京新聞編集局/編 2014年
 何をどう伝えるか。この課題は3.11以降、メディアにとってより一層重いものとなった。「政府は原発の状況や放射能被害に関する真実を伝えず、人々は情報への不信感を強め、私たちは受け手をより強く意識して報道するようになりました」
と序文にある。東京新聞の原発報道に携わってきた記者たちが、坂本龍一との<白熱討論>を通して、「伝える」ことを見つめ直し、新たな紙面づくりを試みる。その模様などの書籍化。(M)

『日本人はなぜ考えようとしないのか 福島原発事故と日本文化』

新形信和/著 2014年  新曜社
 著者の専門の、比較思想・比較文化論の視点から<福島原発事故はなぜあのような大惨事になったのか>を考察する。主語のない日本語は、意思の主体と存在を曖昧にする。自然の中に溶けこむことを求める日本文化は、視点を断片化し統一的な見方を排除する。また、論理を嫌う心性は、現実的解決を心理的解決に置き換える。私たちの社会を変えるには「欠陥として作用する精神構造を克服する必要がある」と、著者は言う。(M)

『日本列島では原発も「地層処分」も不可能という地質学的根拠』

土居和巳/著 合同出版 2014年
 「30余年にわたって原子力畑の地質屋として生きてきた」著者が「贖罪の一片として」書いた本である。人形峠でのウラン資源調査、原子力関連施設の基盤の地質調査、放射性廃棄物地層処分のための候補地の地質調査などに携わり、北海道から九州まで全国の地質を知り尽くした著者が言明する。高レベル放射性廃棄物の管理や処分を地下深部の岩石圏で行う場合、「岩石圏の安定性と地下水との接触の可能性の有無」が問題となるが、<日本列島の岩石中の亀裂の多さは、透水性や地殻変動の頻度の高さを示しており、日本に地層処分の科学的有望地はない>。(M)


『福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞』

日野行介/著 岩波新書 新赤版 2014年
 理念法の「子ども・被災者生活支援法」は、運用のための基本方針を作る過程で、何故どのように<骨抜き>にされたのか。毎日新聞社会部記者である著者が、政治中枢の官僚たちに肉薄取材し、それを明らかにする。 
高慢で狡猾な官僚たちの姿がそこにある。政策遂行に都合の良い情報のみ意図的に集め、裏会議で事を決める。タイミングを計って表に出すのは、議論を尽くした格好を整えるためだ。骨抜きは既定路線だった。被災者を守るべき法律、中でも支援が不十分な自主避難者や子どもを特に救う目的で作られた法律が、あろうことか政府によって、その理念や趣旨を歪められ、被災者の意向を無視した<帰還政策>に利用されていく。「この無責任、隠ぺい、押しつけが行き着く先の社会は一体どうなるのだろう」。著者の報道人としての使命感が伝わってくる。(M)


『放射線像 放射能を可視化する』

森敏・加賀谷雅道/著  皓星社 2015年
  人間が放射性物質を知覚できたら・・・。
そんな思いを視覚的に実現させたのが、本書だ。
オートラジオグラフィーという手法で、見えないはずの放射性物質を見事に写し出している。 たんぽぽ、もみじ、おたまじゃくし、ねずみ、様々な動植物の外部被曝も内部被曝も。軍手や長靴など日用品の放射能汚染も。くっきりと見える。
福島原発過酷事故による放射能汚染の中で、私たちは今生きている。その貴重な証拠となる写真集である。(M)

『北海道電力<泊原発>の問題は何か』

泊原発の廃炉をめざす会編 寿郎社 2012年

『ルポ チェルノブイリ28年目の子どもたち 
ウクライナの取り組みに学ぶ』

白石草/著 2014年 岩波ブックレット 岩波書店
◇ウクライナの学校、医療機関、行政機関などを丹念に取材し、原発事故から28年経た現在も様々な疾患を抱える多くの子どものために、各機関が連携し取組む様子や、力を尽くす人々の声を伝える。ウクライナでは、「子供たちの健康政策は、常に国の政策の中心に置かれている」。翻って、この国はどうか。
「目の前で起きている被害を黙殺する」日本政府は、「今こそ、チェルノブイリの経験に学ぶことが重要」だと、著者は結ぶ。(M)