−「なぜ人を殺してはいけないのか?」の回答−
論理学的アプローチで考える・・。
最近、論理学の入門書を読んでいますが、難解です。
情報論理学は学んだのですが、文章を扱う論理学の習得は未だです。文章を扱う論理学は難しいですね。
そんな中でも、「人を殺してはならない」という規範命題の証明には少し疑問を持っています。
そこでは、「殺人は許される」という命題と反対の仮定を立て、倫理を持ち出して背理法により前提と中間帰結で矛盾が生じるから仮定は成立しない。
よって、仮定は偽であるから命題は真であるという結論を導きだします。
真と偽しかない2値論理では、矛盾は偽と定義されますから、この証明も論理学的アプローチからは一応の証明として完成していますが、果たして妥当な証明でしょうか。 私には、よく分かりません。
「社会あるところには矛盾がある」と思う私のアプローチからは、矛盾即偽であるとは思えません。矛盾からは単純に結論は見出せないと思うのです。 従って、上記の証明も矛盾を含んだ不完全な証明であると思えるのです。
その意味では、「人を殺してはならない」と言う命題は、人類が共存する上で定めた倫理・規範であり、証明には適さないのかもしれません。
ただし、4値論理の立場からは、矛盾から、「人を殺してはいけない場合と、人を殺しても良い場合がある」という結論が見出せそうです。
この4値論理の場合でも、「人を殺してはいけない」という規範は厳格に守られなければいけませんが、 例えば、急迫不正の侵害に対しての正当防衛のようにやむを得ぬ事情があった場合には、「人を殺した場合に責任を問えない」という評価が下されることになります。 「人を殺してもよい」のではないのです。
やはり、「人を殺してはいけない」という規範は、真なのです。しかし、これをどう証明すれば良いかは、分かりません。今後の課題です。
小学生に、「なぜ人を殺してはいけないの?」という質問に対する回答は、反復しますが、「人類が共存する上で定めた最低限の倫理・規範であるから 守らなければいけないよ!」という回答が一番素直な気がします。そう思うのです。
論理的証明もその妥当性が証明されれば、強い証明力を持つと考えています。下記に、2値論理による証明を行ってみました。ありふれた証明かもしれませんが、 ご容赦願います。
【証明】
- 「殺人は許される。」と仮定する。
- 殺人が許されるならば、社会秩序が乱れる。
- 社会秩序を維持するには仮定を否定する規範が必要だ。
- 仮定を否定する規範は、「人を殺してはならない」という規範である。
- 従って、社会秩序を維持するためには「人を殺してはならない」という規範(結論)が導かれる。
証明は、この社会秩序を目的としたものだけとは限りません。色々な角度からの証明が可能だと思います。未だ未だ考える余地があるようですね。それでは。