−「生活保護法と国家」−

水俣病患者を救え!・・。


【水俣病 一時金で生活保護停止…。】
 水俣病被害者救済法などに基づいて支給された一時金210万円を収入とみなされ、 生活保護を受けられなくなった被害者の世帯が熊本、鹿児島両県で100世帯を超えている。(読売新聞)


これじゃー、病人に鞭打つような仕打ちだ。
 和解金は一時金以外にも支給されるのであろうか。
 だとすれば、せめて、和解金全額が支払われて生活が安定するまで生活保護費の受給を継続させるべきだと思う。
 患者に酷過ぎる。

人の支配を排除する法の支配。法により国家を統治する。それは、国民から信託された権利であり、 国民の為に行使されなければならない。困っている国民を切り捨てる法。それは悪法。生活保護法は悪法。 その悪法を盾に国家は国民を切り捨てる。国家による国民の切捨て。それは見逃してはならない統治行為の乱用である。

いつの時代もそうだ。お役所は困っている国民を見てもそれを救済せず、厳格な法の適用により国民を門前払いする。

国家は困っている国民の現実を見ない。

見ているのは六法全書に書かれた法の適用基準だけである。

どうしたら、法の適用基準を緩和して国民を救済できるかなどとは一切考えない。

法の規定通りですから、と冷酷な対応をする。今回の件もそうである。

それもその通りである。国家官僚は、国民の事など眼中にない。見ているのは法学部で習った法令の解釈と当てはめ。 ただそれだけである。国民を如何に救済すべきかなどは試験に出てこないから、考えること自体が対象外なのである。

国家は、国民に奉仕してこそ存在意義がある。

今回の件で問題なのは、生活保護法の「保護の補足性」という規定である。保護の補足性は、あらゆる財産を活用しても尚生活ができない場合に、 保護が適用されるという規定である。だから、水俣病の患者の和解一時金も全て収入と認定されてしまう訳である。

しかし、これは少しおかしいと思う。災害の補償金を収入認定するのは、理不尽だと思うのである。 その観点から、生活保護法は困っている国民を救済できない悪法だと考える次第である。生活保護法は決して悪い法ではないが、あまりにも規定が厳格すぎる。そう思う。

水俣病患者は、公害によって憲法25条1項の規定する健康で文化的な生活を営む権利を侵害された被害者である。一般の人達とは違う。 国は、この特殊事情を考慮して彼らを救うために特別な配慮をなすべきだと考えるのである。

今回の件に関しては、せめて、災害の補償金のような特殊な収入は、生活保護法の改正や収入認定の基準の変更等で収入認定しない方向に是正すべきであろう。 その為の暫定措置として生活保護費の受給を継続させるべきである。

それが国家公務員・官庁・国家の責務であり、国民を救済する真の生活保障制度の実現を図るものだと考える。




− 2011/06/09 written by kazkaz −


*2011/06/12 修正
*2011/06/14 修正