『起業支援システムの提案』

資本主義社会は市場が飽和して限界に達しています。景気が回復しても労働人口は増えないと予想されます。それを回避する方法はないのか。 一つの提案は、失業者が起業することです。その起業を如何に支援するかを提案します。


【起業支援システムの提案】
 人件費等を含めて究極なコストカットで利潤を追求する資本主義経済では、如何に景気が回復しても、 企業における大幅な労働者の雇用増加は見込めません。失業者は、仕事を求めてハローワークに足を運びますが、 有効求人倍率の極端な低さと経験職種とのミスマッチで、中々希望に合致した会社への再就職という道には就けません。 ハローワークで行う職業訓練も、求人とのミスマッチで効果的に働きません。 このままでは、失業者を労働者に変換させる方法は、新規産業でも興さなければ、実現不可能で、それが無理であれば、 今以上の失業者の増加を招くという結果となります。これは深刻な問題です。

では、本当に、失業者を労働者に転換させる有効な施策はないのかを考えてみます。一つの答えは、失業者に起業を促すことです。 しかし、長年企業という雇われる温室に育った労働者達は、起業ノウハウ等の知識を持っておらず、簡単には起業することはできません。 何らかの支援が必要であると思うのです。そこで考えたのが、本提案です。

全国各地にはハローワークが点在して設けられています。ここに、離職した人を対象に起業の相談窓口となる 「(仮称)起業支援センター」を設けることにします。運用の財源は、例えば、雇用保険若しくは企業からの (仮称)起業支援税を徴収した費用で賄うこととします。

起業支援センターでは、失業者を対象に、起業ノウハウの講義を経験豊かな識者達により受講します。 アイデアの商品化・サービス化の仕方,資金調達方法,会社法,特許法の基礎知識,その他必要なノウハウの伝授を受けます。 また、受講者同士で、起業論をディスカッションし、モチベーションを高めるようにします。

識者による講義は、センターからのインターネットによる講義でカバーします。また、 質問等に対しても懇切丁寧に答えられる体制を整えます。また、起業支援センターでは、民間から登用された起業アドバイザーを配置し、 起業しようという受講生の相談に応じます。起業してからのサポートも行います。

起業アドバイザーは、国家から委託を受けた民間企業で養成します。企業では、例えば、設計,経営,管理,品質,販売,営業,生産部門等を ローテーションで経験した人を起業アドバイザーとして養成します。ここから選任された起業アドバイザーが起業支援センターに派遣されます。 即ち、ハローワークを単なる転職支援機能だけで終わらせるのではなく、起業養成機関として有効に機能させるのです。

受講者同士で新しい提案をし、その輪で新規企業が興せるかもしれません。そして、この起業支援センターでの起業支援は、 全国の失業者に開放されます。企業を離職した人のみならず、就職の決まらない新卒学生や生活保護受給者,停年を迎えた高齢者も対象 とします。

要するに、起業支援を単なる助成金の支給のような中途半端な施策や、民間によるセミナー事業に任せるのではなく、起業家を育成する国家プロジェクトとして 推進するということが重要だと思うのです。それは人に優しい今考えられる最もベストな公共投資なのではないでしょうか。

起業が有効に行われるか否かは、課題として残されています。起業のアイデアはすぐには沸きません。時間を要します。 長い目で見て、それを引き出すサポート体制が重要な鍵だと思います。



- 2010/01/23 written by kazkaz -


2010年1月29日;若干の加筆・修正を行いました。