−現行の憲法制定過程と国民主権−
この所感は、現行の憲法制定の過程と今の国民主権について記したものです。拙い所感ですが、ご一読頂ければ幸いです。
【憲法制定過程と国民主権,福祉国家の実現へ向けて】
歴史には詳しくない私ですが、日本は、幕末を経て明治期には君主主権国家へ移行し、
昭和期に戦争に突入して軍事主導の国家となりましたが、敗戦により、軍事主導が解除され、君主主権から国民主権の真の民主国家へと移行しました。
その意味では、主権の交代が8月革命説(八月革命説)で説明されることがありますが、本来君主主権から国民主権への移行は、人民の革命で得た訳ではなく、 無条件降伏下での敗戦と戦勝国占領という戦後事情に基づいたものですから、戦争敗北統治移行(戦争敗北を起因とする君主主権から国民主権への転換・移行)により 主権の交代が説明されるべきであると思います。
即ち、日本は、ポツダム宣言の受諾により一時的に統治権が凍結され、戦勝国米国から戦争敗北統治移行指示を受け、 大日本帝国憲法との法的連続性を保ちながら、当該大日本帝国憲法の破棄と新日本国憲法の新規制定を行い、 新日本国憲法の制定により、君主主権から国民主権へと主権交代がなされたものと考えます。
そして、現行の日本国憲法は、敗戦占領という特殊事情の下、占領国の意向を受けて、戦争敗北統治移行 が行われた特殊憲法と解する他ないと思います。即ち、憲法改正は、敗戦による占領の制約の下、統治移行の指示を受けながらも、 民主的に行われたと解する他ないと思います。
その点で、8月革命説は、主権の交代をうまく説明できず、日本の憲法改正を説明するのは、 自然ではないと思います。確かに、ポツダム宣言受諾は、革命に匹敵する程の歴史事情ですが、 そこから主権の交代を導くことはできないと思います。法的革命はたとえ話に過ぎないと思うのです。
その結果、日本の国民主権が、革命等を経ず、戦争敗北統治移行という特殊事情により得られたものですから、 戦争の痛手は知っていても、国民主権の恩恵があまり分っていないように感じます。
その意味で、日本の政治は、他諸国の政治と比べて、国民に対して責任を負う比重が軽いと思います。 また、国民の方々も、国政に対する関心が薄いように感じます。
勝者が生き残る資本主義経済を前提とした国民主権国家において、勝者が恩恵を受けるためには、 その犠牲となった敗者・弱者を救う社会保障・福祉政策を充実させる責任があると思います。今、 福祉国家の実現が必要なのです。
そのためには、もっと国民の方々が国政に感心を向け、福祉国家の実現に向けての本来の主権の行使を実施して欲しいと願う次第です。
参考:『8月革命説』−Wikipedia
※表題を変更しました(2008/07/10)。