−「脱・常識のすすめ」−
新しい発想を得るために…
会社の特許部に在籍していた頃の話です。
常識で物事を考えない私によく先輩は、「常識で物事を考えろ!」と忠告していました。 ところが、その先輩は、技術者への提言として、「発明をするには、発想を転換して考えて下さい!」と指導するのです。
普段から固定観念化された常識で物事を考える癖が付いていると、その常識から中々脱却できません。 発想の転換はそう簡単にできるものではありません。日々の修練が必要なのです。 自分でできない発想の転換を技術者に押し付ける訳ですから、おかしなものです。正直、あきれ返りました。
世の中の常識は、全ては仮説。新しい着想を得るには、普段から逆説的に物事を考えたり、常識を疑って考えてみることが大切です。 長年の学生生活で、ただひたすらに受身で学問の習得をしてきた人達は、皆、自分で創造する術を持ちません。 一番厄介なのは、理解していない部分を理解したつもりでそれを常識として拭い去れない人達です。変なところで頑固なんですよね。 自分の常識を疑ってみる。これが大事です。
新しい着想を得るには、既存の理論を疑い、否定して新しい仮説を導出することが大事です。既存の理論をとことん否定して考え直すことが重要なのです。既存の理論には穴があるものです。 その穴は既存の理論の否定で導出できるのです。
そして、少しずつ、既存の理論を否定してそれを改良する理論を考えていきます。その理論が論理的におかしくはないか、常に疑いながら考えていくのです。
中核となるひらめきは、そんな時に訪れるものです。ひらめいたら、必ず、メモを取っておくと良いと思います。ひらめきを忘れないためと、あとで考え直すためです。
こんな時に、恩師や上司がいれば助かります。アドバイザーとして先人の知恵を借りるのです。できた恩師ほど、懇切丁寧なアドバイスをしてくれます。 そのためには、相談する人は選ぶ必要がありますね。
思考は、「思考の整理学」の著者・外山滋比古氏の提案するように、少し寝かして置いたほうが良いと思います。 後で考え直してみると、間違いに気づいたり、当初考え付かなかった新たな着想の付加が期待できるからです。
あと、考える時間を持つこと。気分転換をすること。異分野にふれてみること。等など、が大事だと思います。
新しい価値を創造するために常識を打ち破りませんか。既存の経済システムの改良もこんな非常識から生まれるものだと確信します。そんな私の非常識の勧めです。
*2011/06/10 大幅な加筆修正を加えました。