−「我慢の理論」−
ミクロ経済学の欠陥・・。
ミクロ経済学の初めに、消費者の行動モデルが示される。
消費者は陳列された食材からより効果的な買物をすることを前提に話が進められる。
しかし、今の世の中はそんなモデルでは考えられない。
景気が落ち込んだ時代には、消費者は、より安いものを買い、高ければ我慢するという消費行動を採る。 この「我慢の理論」が経済学のモデルにないことは、経済学の消費者行動モデルの欠陥である。
消費者が「我慢の理論」を選択すると、予算制約線は極端に下方へ押し下げられ、消費を抑制する。従って、消費量も低下する。 その結果、市場では投下した資本を回収できず、企業の利益はマイナス方向へと向かう。
市場での消費が縮小すると、企業での生産調整が縮小方向に行われ、労働投入量が縮小され、余剰人員が発生する。 これが失業者を生む原因となる。
景気が回復しないと、この「我慢の理論」はさらに加速し、企業の減益・失業者の増加を招き、景気はさらに悪化する。 結果として、デフレのスパイラルを招くのである。
また、この「我慢の理論」は、「ライフサイクル仮説」と密接に関連する。共に、消費行動を極端に抑制するからである。我慢して消費せずに貯蓄する。 消費が活発に行われないから企業は収益を上げることができず、景気回復の道は遠くなる。
ミクロ経済学は、このような現実の経済社会を考慮しない机上の空論で構築されている。
市場メカニズムが正常に機能しない要素(モデル)を考慮していないのである。
そこで、今、ミクロ経済学の再構築が求められる。市場の失敗を政府に依存する他力本願な学問は、真の学問ではない。
ミクロ経済学でも不況対策は研究されなければならない。そう思うのである。
*加筆・訂正しました。2010/08/10
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