「おかあさん天使になれるよ」


「おかあさん!」
「おかあさん、天使になれるよ」

助手席から、突然見上げて三歳児Jは言った

「えっ?どうして?」

「だってお母さん、ダンプカー行かせて上げたモン」
「運転手さん、うれしそうだったよ」

(えっ!こんな一瞬をこの子はちゃんと見ていたんだ)
(一瞬の行動も見逃さない、心して生きていこう)
これから先、心してどんな時も
子供に見られて恥ずかしくない行動をしよう
私は心の中で思いました
たった、右折車を行かせてあげただけの事でした

たったこれだけの行動で、
ホントに天使になれるんだったらいいな

もうずっとずっと・・・昔の出来事です


ある雪の日の事でした

仕入れの展示会に、二男Jを助手席に乗せて出かけた

常々渋滞する一車線の道
その上、滅多にない雪で更に渋滞していた
対向車線に右折車があって、対向車線の渋滞が更に激しい

目の前は、二、三台入れる程度
ここで、右折車を行かせて上げても
後続車に迷惑は掛けないな
どうせ、前に進んでもすぐに止まってしまいそうだし

そう判断して、ライトを点滅して合図した
すると、ダンプカーの運転手さんはペコッと頭を下げて右折して行かれた

たったその一瞬の何気ない出来事だった
でも、彼はキチンとその一瞬を捉えていた

そして・・・返ってきた言葉に驚かされた
天使になれる
なんて言われちゃったら
心はウキウキ

こんな事に出会えるんだったら
渋滞も悪くないな
なんて気分になっちゃいます

その一瞬に!
天国にでも昇りそうな気分でした

子供たちは、幼い純粋な眼で
すべてを見逃さない

子育て中のお母さん、お父さん
いつでも、あなたたちを見ているのです
どうか、心して日々の一瞬一瞬を・・・